2010年  9月13日(月)


 「では、お参りしなくてもいいから、
  席主さんの、冥加料と、
  お布施を出して下さい。」


 「うーん。・・・」


山田は、どうしても、納得が、いかなかった。
お寺が、勝手に、日取りを決めておいて、
それに、お参り出来ない、というと、金だけ出せ、
という。


(一体、仏様は、そんな教えを、
 説いたのか!金だけ、もってこいと。)


うーん、と、うなった後で、
山田は、お坊様に、言った。


 「あの、もう、このお寺の、信者をやめます。」


 「何だって?じゃ、お母様の、
  7回忌は、どうするのですか?」


 「自分で、やります。」


 「どうやって?」


 「私が、お坊様になって。」


 「出家するには、1年間の、入寺見習いが、必要です。」


 「そんなのは、要らない。
  私は、山田教の教祖になるのだから。」


 「ばかな。」


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  ばかだって? それがどうした? 
  仏様の、知恵の前では、どんな人間も、バカだ。
  バカで、結構。


とりあえず、今、この世に、一人のお坊様が、誕生した。


どんな人?


山田雲水。


えっ? 頭、剃ってないじゃん。


いいのだ。
山田教では、頭に毛が、あっても、心臓に、毛が、生えてても、
すね毛が、濃かろうが、薄かろうが、とにかく、
毛で、人を判断しては、いけない。


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 「霊廟の、お母様のお弔いは、どうするのですか?」


 「心配ご無用。私が、お題目で、弔いますから。」


 「困った、お人だなあ。」


 「困らせるお寺の人に、言われるのだなあ。」


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  僧侶、山田雲水、合掌