最初は興味本位だった。ユギョムの事を知りたいと思ったのも。あれだけ気に食わないと思っていたユギョムに自分から近づこうと思ったのには、きっと何か惹かれるものがあったからなのかもしれない。
「そっかー……」
「はい……」
ひかえ目にユギョムは相槌を打つ。
「俺に敬語とか使わなくていいよ。気軽に話して?」
マークはなるべく優しく伝わる様に、ユギョムに対しゆっくり話しかける。
「は、はい……」
「あと、マークヒョンって呼んでよ」
「……マークヒョン、ですか?」
「うんうん。」
「……わかりました」
べムべムには、ジャクソンやジニョンが話しかけていてもう打ち解けているような様子だった。一方で何故かいつも喋らないジェボムが、難なくヨンジェと話している。ジェボムの様子が少しおかしい、マークはそう思った。
次の授業の時間が近づいてきたところでマークは言う。
「そろそろ行こう?じゃあねユギョム君。」
「あ、さよなら……マーク、ヒョン」
少しはにかんだ笑顔が、マークの脳裏に深く刻まれる。それを悟られないようにか、彼はすぐにその場を去った。
「マーク、お前ユギョムって奴と喋れてちょっと嬉しいんだろ!」
ジャクソンは犬のようにマークの周りをちょこまかと動き回る
「ユギョム君って、なんか面白い」
「めずらしいな、お前がそういう事言うの。」
「まーね……あれ、次何の授業だっけ?」
それ以上ユギョムの話を振られたくなくてマークは話題を逸らす。
「確かホームルームじゃない?」
ジニョンがすかさず答える。ジニョンはこのグループの中で一番のしっかり者で、とても真面目なのだ。
「げ、マジかよ……俺サボろうかな」
ジャクソンはいつもの様に手を頭の後ろで組んだ。
「俺も-」
マークもそれに賛同する。これはいつもの事だ。はぁ、とジニョンはため息をつき
「ジェボムは?」
と、問う。
「今日はいい、ホームルームとか寝れるじゃん」
そう言ってジニョンと同じ方向に歩き出す。
「じゃあなー、真面目なお二人さん」
そう言ってジャクソンはひらひらと手を振り、マークとともに階段を駆け下りて言った。
「なんであーなるかな、あの二人は」
ジニョンはため息をつく。とは言っても、ジェボムもたまに授業をサボるのだが。
なぜこの四人が仲良しなのか分からなくなるくらい、性格がバラバラの人々が集まっているのだ。
「さぁね。」
「全くもう」
「お前、優しいよな」
ジェボムはたまに文脈に関係なく意味の分からない言葉を言ってくるから、よく感情が読み取れない。自分の中では会話が繋がっているのかもしれないが、相手には全く伝わらない。言葉足らずなのだ。
「え、なんで急に?」
少し笑いながらジニョンは問う。
「なんとなく」
少しフッと笑ってまた前を向く。
ジニョンはいつまでたってもそのジェボムの微笑みに慣れることができず、心臓の鼓動が聞こえるくらいだった。