毎日ヨンジェがバイトに行くようになって、俺は気づいたことがあった。ヨンジェは何か違う匂いをつけて帰ってくるのだ。花でもない、何でもない、誰かの、においを
「なぁヨンジェ、バイト楽しいか?」
新聞から目を離さないまま、俺はヨンジェに問いかける
「え? はい!楽しいですよ?」
「そっか」
ヨンジェがあまりにも楽しげに言うから、少し嫉妬してしまう
「どうしたんですか、急に」
ははは、と笑いながら、ヨンジェは俺が座っていたソファーに腰を下ろした
「ううん、別に」
「何ですかもうー、僕たち何でも言い合う約束でしょう?」
そう言ってヨンジェは俺の腕に手を絡めた。それだからダメなんだよ。俺だっていろいろ我慢してるのに、我慢できなくなる
「お前、最近 外行ってばっかだし、なんか他の奴の匂いつけて帰ってくるし」
ヨンジェの顔を見ないまま、俺は言い放った。するとヨンジェは俺の顔を覗き込み、こう言った
「僕が、浮気してるって思ってるんですか?」
「そういう訳じゃないけど……」
すると少し嬉しそうにヨンジェは言う
「じゃあ嫉妬?」
またさらに、俺の顔を覗き込む。
嫉妬されて喜ぶ奴、いるんだな。
「そう、嫉妬。」
なんなんだろう。焦りと不安が同時に俺を襲ってくる。浮気しないなんて分かりきったことなのに
「大丈夫ですよー、僕が浮気なんかすると思いますか?」
「ううん、思わない。思わないけど……」
あぁ、重いと思われるかな?そんな事すら不安に思う自分がそこにはいた
「なんかお前見てると、全部不安になるんだよ」
これは、本音だ。いや、本音以外の何でもないのだ。ただ怖かった。お前が俺から離れていくんじゃないかって
「ヒョン、不安なんですか?大丈夫ですよ、僕はどこにも行きません。ずっとジェボムヒョンの側に居ますから」
そう言ってヨンジェはギュッと俺の手を握った。どんどん、熱を帯びていく俺の手、熱を帯びていく顔、熱を帯びていく全身。ダメだこんなんじゃ
「うん……」
少し顔を逸らして答えると、ヨンジェが俺の太ももに乗っかってきた。突然の出来事に心臓がドクンと跳ねる。そして俺の顔を両手で挟み真正面に向けた
「ちゃんと僕の目、見て」
時が、止まったように思えた
「ね?大丈夫ですよ」
その手を離さないまま、ヨンジェはにっこりと微笑んだ
いつの間にかそのまま俺もヨンジェの顔を手で挟み、どちらからともなくキスをしていた。
好きだ、好きだ、どうしようもなく愛してるんだ、お前を。気持ちが溢れてしまってからは、理性が持たなかった
気づくと朝が来ていて隣にはすやすやと眠っているヨンジェが。……可愛い奴め
俺は気づかれないようにそっと触れるだけのキスを落としたのだった