レジをしてくれたのはヨンジェではなくジャクソンだった。ヨンジェがしてくれると期待していただけに少し残念だった
「まだ包み方教えてなくて、すみません」
俺の気持ちを察したのか、少し焦ったようにジャクソンは頭を下げた
「あ、いえ、大丈夫ですよ」
花を包んでいる間、少しの沈黙が俺とジャクソンを襲った。ヨンジェはまだ他の所で仕事をしているようで、近くにはいない。
「白い薔薇……尊敬、純潔、私は貴方にふさわしい」
ポツリポツリと言葉を漏らすジャクソン
「あ、花言葉です。急にすみません、思い浮かんじゃって。」
数々の花が売ってある中で、一つの花についてここまで話せるだなんて。感心させられた。
「凄いですね、そんなに覚えれるなんて」
「あぁ、元は母がこの花屋をやっていたので、その時に色んな花の事を教え込まれてて。それで覚えちゃったんです」
ジャクソンは少し懐かしそうに微笑んだ
「そうなんですね」
過去を懐かしむことができるなんて、羨ましいな、なんて内心思った。俺には振り返れる過去なんてないのだから。
ジャクソンは花を包み終わるとこう言った
「ジェボムさんその薔薇、折らさないように気を付けてくださいね」
言っている意味が分からなくて少し顔を傾けると
「またいらしてください、今日はありがとうございました」
と、また少し困ったように眉毛を下げて言った
家に帰って今日買った白い薔薇を花瓶に刺した。それだけでも周りの雰囲気が変わったように感じれた
「ジェボムヒョン、ただいまー」
「おかえり、ヨンジェ」
玄関に飾ってある白い薔薇を見て、ヨンジェは笑みをこぼした
「結構花って綺麗なんだな」
読んでいた雑誌から少し目線を逸らし、花の方を見る
「でしょ?僕、小さい頃スズランって花が好きだったんです」
スズラン?どこかで聞いたことのあるようなその響き。今日花屋で見たんだったっけな
「どんな色?」
「白い花です」
多分、今日見た花の事だろう。うろ覚えだが白い花はいくつも見た気がする。そのうちのどれかだ
それにしても今日見ただけでよく覚えてたな。
「今度もう一回花屋に行くから、その時にまた教えて」
するとヨンジェは不思議そうに顔をかしげた
「いいですけど……そんなにお花に興味があるんですか?」
ヨンジェはリュックやら何やら荷物を置いて、洗面所で手を洗い出した。ジャー、と水の流れる音が聞こえてくる。
「まぁ?そこまででもないけど」
「でも、お花って可愛くて綺麗ですもんね!」
そう言って、笑顔で俺の隣に座ってくるヨンジェを見ると笑みをこぼさずにはいられなかった。