平穏な町のおかげもあってか、いつしか俺がヨンジェを傷つけることは無くなっていった。
次の週になってまた俺は、ヨンジェの働く花屋に向かった。ドアを開けるとまた優しく響くベルの音。
「あ、ジェボムヒョン!いらっしゃいませ」
てくてく、俺の方に歩み寄るヨンジェの頭を軽く撫でてやった。
今日は先客が来ていたようだ。若い女性がちらほらといるが、その中に一人だけ目立った男性がいた。俺ほどではないが、高い身長に整った顔立ちで、黒のスーツを着ている。その客にジャクソンが満面の笑みで対応していた。
「おっ、ジェボムさんじゃないですか!お久しぶりですね」
俺に気づいたジャクソンは、話を中断して俺に挨拶をしてくれた。
「お久しぶりですね」
「今日もゆっくり見て行ってくださいね!」
いつも通り元気良く返ってくる返事。
「はい、ありがとうございます」
そしてまた、その男性との話に花を咲かせるジャクソン。少し、分かった気がする。ジャクソンが俺とヨンジェを見ても怪訝そうにしなかった理由が。彼は今までに見たことのないような、嬉しそうな顔でその男性を見つめているから。
「ヒョン、この前言ってたスズラン!」
そう言ってヨンジェは俺の手を引き、スズランの置いてあるコーナーに連れてきてくれた。
「これがスズランです。」
ヨンジェが指さしたものには、
真っ白でたくさんの小さな花がついていた
「これ?」
「はい!」
やっぱり、どこかで見たことがあるこの花。思い出したくても、思い出せない。そんな自分が嫌になる。
「僕が小さかった頃……」
「いっ……」
突如来る頭痛
ヨンジェと出会ってからは、ほとんど無かったのに。
「ジェボムヒョン?」
痛すぎて、立てない
「ヒョン!?」
あぁ……
ヨ、ン、ジェ?ヨンジェ?