それからは父親の言いなりになって過ごした。こうしろああしろと言われること全てをこなした。自分が犯罪者だと信じて疑わなかったから。
ただ、大学の学部だけは自分で決めた。どうしても医学部に入りたかったのだ。俺は高校時代それだけのために日々を頑張った。
医学部に入りたかった理由はただ一つ。もうこれ以上誰も殺したくなかったから。1人でも多く、生きてほしいと思ったから。綺麗事だって言われるかもしれない。でも本当にそれだけの理由だった
うちの父親は何の仕事をしているのか、いつまでたっても教えてくれなかった。良くない仕事だというのは薄々気づいていたが、何故か聞くのが怖くて聞けなかった
いつの間にか俺は大学に入り、1人暮らしをしていた。父親に大金を渡され、もう戻ってくるなと言われた。不思議と悲しくはなかった。
むしろ開放感があったくらいだ。
高校大学と、あまり友達を作らずに生きてきた。俺は犯罪者だから、みんなとは仲良くなれない。そう思っていたから。
そうだ……マークだ……!
今やっと彼の事を思い出した。マーク……もうあいつ、医者になれたんだな。確か親が病院の院長をしていた気がする。マークは俺の大学時代の友達だった。近寄りがたいオーラが出ていたのか、はたまた無口だったためか、俺に近寄る奴はほとんどいなかったのに、マークだけは少しだけ話しかけてくれることがあった。
大学院まで行き就職も決まったというのに、そこでまた俺は記憶を失くした。そして一人で放浪しているときにヨンジェと出会ったのだ。
あれ……ヨンジェ?
ヨ、ンジェ
俺の弟……ヨンジェ?
「ジニョン、俺の弟……」
まさか。そんなはずない。
俺の弟は死んだはずだ。
俺の、手によって。
「そうだよ」
ジニョンは言う
「俺の弟は……ヨンジェなのか……?」
「ああ」
そんな……嘘だ。
俺の弟が生きていた。それだけでも十分な事実なのに。本当にヨンジェが……俺の弟なのか?
俺は何をした、ヨンジェに。ヨンジェと出会った時の事までは覚えていたのに、出会った後の事が思いだせない。
「ジェボム、思い出したの?」
窺うように問いかけてくるジニョン
「ああ。でも……肝心なことが思い出せない。……そのヨンジェが生きてるって事は」
ジニョンは俺の汗ばんだ手のひらを掴んだ
「そうだよ。だからジェボムは犯罪を犯してなんかいない」
「じゃあなんで……」
「これから話す事、落ち着いて聞いてくれる?」
遮る様に、それとは逆にとても優しく。
ジニョンは俺の問いかけた
「あぁ」