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「ジェボムのお父さんの事、なんだけど」
怯えたように僕を見つめるジェボム。父親の事をまだ恐れているのだろう。
「……ブラック企業の経営をしていたらしいんだ。」
また更に表情が強張る。
「それで……ヨンジェ君の話なんだけど」
僕は意を決した。
「……ジェボムとヨンジェ君は異父兄弟なんだ。ジェボムの母親は……他の男と浮気してたんだ。」
言いにくい事。でも警察という職業をしていれば少しは慣れてくるもんだ。
「えっ……」
「それで、その男との間に生まれたのがヨンジェ君。相手の男も会社を経営していた。それはブラックではなかったみたいだけど。」
「そんな」
頭の中が整理できていないジェボム。でもここで話を止めると、余計めちゃくちゃになる。
「ジェボムとヨンジェ君の母親は、ヨンジェ君が生まれてからジェボムの父親の所には来なくなったみたいで。その後は急病で亡くなってしまったらしい。ヨンジェ君の父親は会社がとても大変だったんだって。それでヨンジェ君の面倒が見られなくなったと。でも他の人にヨンジェ君の存在を知らせるのはまずい。自分が浮気相手で、生まれた子供だなんて皆に知られたら……。そう考えた彼は、ジェボムの父親に預けることを決めたんだって。ジェボムの父親が金に目が無いっていうのは知ってたみたいで、報酬を出すから6年間ヨンジェ君を預かってくれって」
ジェボムの父親の事を悪く言うのは自分でも気分が悪い。でもこれを伝えなければ何も始まらない。
「それで二人は契約をして、ジェボムの所にヨンジェ君が来たって事。」
言葉を失い、目には光が消えたジェボム。ごめんね。でもまだ終われないんだ
「それから、ヨンジェ君は6年が経ったから、ヨンジェ君の父親の所に戻されたんだ」
「なんで。なんであいつは俺に嘘をついたんだ?俺は犯罪なんて……」
必死で声を絞り出すジェボム。
「うん。ジェボムの父親は……金のためなら人殺しもしていたらしいんだ。ジェボムにそうやって言った理由、それは自分が罪に問われたときジェボムを連れ出して罪を擦り付ける為だったんだ。ジェボムは正義感が強いだろう?だからそこで自白させようという魂胆だったみたいで」
こんな重苦しい話をスラスラと話せる自分が恐ろしい。内心はすごく苦しいけれど。
「……でもジェボムの父親は捕まったよ。もう。」
途端に、ジェボムの目から涙が溢れる。
「なんなんだよ……今まで俺は……どんな気持ちで、生きてきたと思ってんだよ!!」
何度もベットを殴る
何度も、何度も、何度も。
それを見つめることしかできない僕は、とても情けないと思った。
「どんな奴だとしても。俺のたった一人の家族だったのに……」
次々と零れ落ちる雫たち。
僕はそれを拭ってやることしかできなかった。