トントン、ドアをノックする音。ジニョンがまた見舞いに来てくれたのかな。そう思ってドアのそばを見ていた。すると、確か前も見た、ジニョンの隣によくいる刑事が立っていた。
「こんにちは」
その刑事はふわっとした笑顔で俺に笑いかける。
「こんにちは……」
彼はジニョンの相棒だろうか。丁寧にドアを閉めるとベットの近くにある小さな椅子に彼は腰かけた。
「最近、調子はどうですか?」
「あ、あぁ前よりはマシになりました」
それに、明日はヨンジェに会える日だから上機嫌なんです。そう言うのはやめておこう。
しかし、なぜ急に俺の所を訪ねに来たのだろうか。いつもだったらジニョンが来るついでのような感じでくるのに。なぜ一人で来た?
「あ、急に訪ねてしまってすみません。どうもジェボムさんの様子が気になってしまって……。ジニョン先輩、最近他の仕事が立て込んでてお見舞いに行けないって言ってたので、代わりに僕が行くことになったんです。」
すると補足するかのように彼は付け足した。赤の他人の俺の事を心配してくれていたというのだろうか。
「わざわざありがとうございます」
最初不信感を持ってしまったことを反省した
「いいえ、いいんですよ。あ、僕の方が年下なので気軽に話されてくださいね。僕はベムベムといいます。自己紹介が遅れちゃいました」
また、ふわりと笑う。彼は人の汚れを一切知らないように見える。刑事をやっていればそれなりに色々な経験をするだろうに。
他愛もない話を続けているうちに、彼の天真爛漫さから明るい人だという事がわかった。ただ少し掴めないところがあるような気もするが。
「……ヨンジェくんとの小さい頃の話、良ければ聞かせていただけませんか?」
ベムベムは一気に顔色を変え、少し真剣に、でも優しく俺に問いかけた。
「いいですよ」
全く嫌みのない彼には、話してもいい気がした。
彼は時折相槌を打ちながら、ときに微笑んで、ときに真剣にその話を聞いてくれた。
「ヨンジェくんとすごく仲良しだったんですね」
「はい」
何故かベムベムは少し遠い目で俺を見つめる
「ヨンジェくんの事が好きですか?」
意味深な質問。その瞬間に一瞬、たった一瞬だけど彼の目から光が消えた気がした。
「当たり前です」
「素敵ですね……すごく!」
すると一変してキラキラした目になる。
彼は表情がコロコロと変わる人みたいだ。
「ありがとう」
やっぱりヨンジェの話をすると幸せな気持ちになる。別にここにヨンジェがいるわけじゃないのに。
「あ……」
一言漏らすと、ベムベムは唐突に席を立った。
真っ青な顔をして腕時計を覗きこんでいる。
「もうそろそろ時間でした!すみません、もう少しお話したかったのですが……ジニョン先輩には元気でしたって伝えておきますね!」
荷物をバタバタと片付けだし、病室のドアを開けた。
「あ、長い時間 今日はありがとう」
するとピタっと動きを止め、振り向いて彼は言った
「いいえ!また来ますねー!」
彼は満面の笑みを浮かべたあと、元気な声で失礼しました!と言って病室をあとにした。