【考察】輪島市や珠洲市の地震地域係数が0.9と低く抑えられているのも耐震改修が進まない理由では? | 富士市議会議員 鈴木幸司オフィシャルブログ Powered by Ameba

富士市議会議員 鈴木幸司オフィシャルブログ Powered by Ameba

細野豪志サポーターズクラブ「豪衆会」は新規会員を募集中です。

建築士として以前より疑問に思っていたことを書きます。
まず、以下の毎日新聞のニュースを読んでください。

この記事で、輪島市や珠洲市の住宅耐震化率が51%と低かったことが指摘されています。

 

その上で下の(図表-1)に全国の地震地域係数の設定状況を示しておきます。

 地域地震係数についてはホームズさんの不動産用語集には
地震地域係数とは各地域における過去の地震の記録に基づく被害の程度、および地震活動の状況などに応じて、国土交通省が1.0〜0.7までの範囲内で定めた各地域の地震係数のこと。これにより、地震の頻度が少ない場所は地震が多い場所よりも、設計震度を割り引いて家を建てることができます」と書かれています。

 

 この「設計震度を割り引いて家を建てる事が出来る」という部分を少し解説します。
 過去に起きた地震の被害の程度及び地震活動の状況等が低いとされる「0.7~0.9」の地域では、この係数分、耐震基準が定める設計地震力が割り引かれ、法律上必要とされる建築物の耐震強度が低減されています。
 木造(2階建迄)の建物の耐震基準はこの係数を使用しない壁量計算方法で統一されていますが、地震係数の低い地域住民にとっては「地震の心配が少ない地域に住んでいるんだ」というある種の免罪符になってしまっているのではないのか、という疑問が浮かびます。

 

 実は、南海トラフ巨大地震が予想される静岡県は、独自の県条例によって地震係数を1.2倍に、木造家屋の必要壁量を1.32倍に引き上げ、建築物の耐震性向上を促しています。


 かつてチャーチルは「過去に囚われれば 未来を失う」と述べました。
地震の発生頻度によって地域ごとに考慮すべき地震の大きさを変える」というアイデアを基に1951年に東大の河角博士が作成した「河角マップ」を踏襲した地域別地震係数(国土交通省告示1793号)はそろそろ廃止すべきではないか、全国一律で1.0に統一し、静岡県のように各県の条例で強化していった方が良いのではないでしょうか。


 因みに静岡県の住宅の耐震化率を「平成30年住宅・土地統計調査(総務省調査)」をもとに算出すると、平成30年で89.3%となりました。 全国平均(約87%)よりも高い耐震化率となっています。