6月一般質問(続き) | 富士市議会議員 鈴木幸司オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 次に「避難所のプライバシー確保について」伺います。
 建築基準法第一条に「この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする」とあります。
 昭和56 年に施行された「新耐震基準」が要求しているのは、分かりやすく表現すると、「震度6強から震度7程度の地震が来ても、建物が倒壊しないこと」であり、建物の「大破、中破、小破を防ぐこと」を求めてはいません。 実は静岡県は、地震力を建築基準法の1.2倍にして設計するよう求めています。地域係数Zというのですが、静岡県のこの厳しい基準ならば避難所生活など「取り越し苦労」だと思っていました。ところが今回の熊本地震で、木造住宅はファーストインパクトに耐えられても、28時間後のセカンドインパクトで倒壊する危険性が否定できない。つまり「現在の耐震基準では震度7が連続して起きた場合、補強工事が終わるまで避難所生活を余儀なくされる場合がある」これが今回の熊本地震で見えてきた二つ目の課題です。
 私は2004年の新潟中越地震の際、ボランティアとして小千谷高校での2週間の避難所生活を経験しました。「中越元気村」というNPOが大量のテントを持ち込んでくれたおかげで、体育館での雑魚寝から、グラウンドでのテント生活に移り、ほっとしたことを覚えています。
 「人道憲章と人道対応に対する最低基準(スフィア基準)」には避難所について「プライバシーを確保し、十分な覆いのある生活空間を有する」と明記されています。ことを踏まえた上で、以下のように質問します。

①富士市の防災計画では避難所におけるプライバシーの確保についてはどのように配慮されているのでしょうか。
 
これに対する当局の回答は
非常時にはプライバシーよりも命の方が大切だ」というものです。
スフィア基準は国を失った人たち、つまり難民キャンプなどの基準です。震災時の避難所利用は緊急避難であり、何年も続くわけではないので、富士市は避難所用の段ボール製の間仕切りを備蓄しているとのこと。

その高さは90cm。(授乳時などに対応できる180cmのモノもある)
 
保健師さんが、健康確認のため巡回する時などに不便をきたすため、その高さが最適との回答。
 
来てもいない震災に対してイメージがわかないのは仕方ないのかもしれない。
そこで、快適性を追求するためにはこういう間仕切もありますよ、導入を検討してはいかがですか、と建築家 坂茂さんが考案した下の写真のような「紙と布製の間仕切り」を提案して質問を閉じました。




以下、坂茂さんのNPO法人からいただいたメールです。

避難所用・紙の間仕切りについて
NPO法人 ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク

■避難所用・紙の間仕切りの概要

避難所用・紙の間仕切りは、避難所でのプライバシー確保のために紙管と布を材料としたパーティションです。大規模災害後に避難所運営が長期化すると、避難者へ過度な負担がかかることから、世帯ごとにプライバシーを十分に確保することが求められます。

このシステムは、柱と梁でできた紙管のフレームを組み立て、梁に布をかけるだけの簡易なものです。布はカーテンのように開閉できるので、日中は開放し、就寝時のみ閉めるといった利用もできます。

また、紙管は工業製品であり短期間で大量に生産できます。数日あれば相当数の間仕切りを提供することが可能なので、事前のスットクだけでなく、発災後の応急対応にも適しています。


■これまでの設置事例

東日本大震災(2011年)

50ヶ所の避難所に対して1,800セットの間仕切りを提供(全て寄付金による提供)

熊本地震(2016年)

40ヶ所の避難所に対して2,000セットの間仕切りを提供

(うち1,000セットは内閣府による購入、1,000セットは寄付金による提供)

その他、中越地震(2004年)、福岡西方沖地震(2005年)、九州北部豪雨(2012年)、伊豆大島土砂災害(2013年)、広島市土砂災害(2014年)でも提供を実施


■災害協定の締結

東日本大震災(2011年)での実績から、自治体からの要望により災害協定を締結しています。

京都市(2015年)、大分県(2016年)と締結済。 世田谷区(2016年7月予定)。

その他自治体と協議中。


■防災訓練への参加

 東日本大震災以降、防災訓練の重点が避難所運営に移行する傾向があることから各地での防災訓練への参加依頼に積極的に対応しています。