11/16地方議員フォーラム「中島岳志准教授講演」 | 富士市議会議員 鈴木幸司オフィシャルブログ Powered by Ameba

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リベラル保守という思想~安倍政治に対峙するために~
中島岳志 北海道大学公共政策大学院准教授


現代日本政治を分類する
安倍内閣は上図の第4象限。リスクの個人化、自己責任新保守、ネオコン。

みんなの党は第3象限。競争的な道州制、新自由主義。
(かつての小泉政権の立ち位置)
維新の党、橋下さんは典型的な第4象限。でも同じ維新の東国原さんたちは第3象限。
国民新党や立ち上がれ日本は第1象限。パターナルだが、再配分もやろうという立場。
自民党で言えば宏池会が第2象限だった。(しかし現在は姿が見えない)
公明党も第2象限。(リアリズム。与党志向に引っ張られる)
共産党も第2象限。(ロマンチシズム。イデオロギー政党)

小選挙区比例代表並立制の中で、政党はイデオロギー政党から包括政党にならざるをえない。
現代日本の包括政党とは自民党と民主党。
民主党はリベラルな保守と社民リベラルまでは許容範囲と考えるべき。

この第2象限をどのように名付けるのか。
これを左翼という概念で捉えないほうがいい。

左翼思想とは何か
デカルト「我思うゆえに我あり」
当時の概念としては革命的だった。
人間一人ひとりが理性に基づいて設計すれば世の中は良くなる。これが左派の考え方。
理想主義、啓蒙主義そしてフランス革命へ

では保守思想とは
フランス革命の混乱の中で現れたのが保守思想。
理想主義から現実主義へ
人間の理性がそれほど素晴らしいのか、もっと大切なものがあるはず。それを説くのが保守主義。

エドマンド・バーグ
カール・マンハイム
フランス革命に反映された人間観への不信。「裸の理性」への懐疑。
良識、伝統、慣習を重要だと考えるが、保守反動とは違う。
懐古、反動、進歩への懐疑・・・社会は完成しないと考える。
過去も未来も人間は間違える存在、不完全な存在。
少しづつ直していく。漸進主義、それが保守のいう改革。

「ニーバーの祈り」(熱狂への懐疑)
保守が「熱狂」を嫌ってきたのは、熱狂によって議論が邪魔されるからである。
改革とは過去から相続した財産に対する永遠の微調整。

熱狂することができるのは、単一の価値が信じられるからに他ならない。
それに対し保守思想が議論を通じて探求するのは、葛藤しあう諸価値の間の平衡である。
葛藤を進んで引き受けているから、保守思想では熱狂することが禁じられているといっても過言ではない。
(西部邁「保守思想のための39章」2002)
これが保守思想。
保守思想から見ると安倍政治は保守とは相容れない。

今後、民主党が目指すべきもの
「寛容」としてのリベラル。リベラル保守という構想。
それを何と呼ぶのか。
【第2象限】のネーミング・・・「国民の生活が第一」のような判りやすいスローガンを掲げる必要がある。

新しい公共、すべてのひとに居場所と活躍の場という考え方は間違っていない。
最大多数の最大幸福、それはデモクラシーではない。

デモクラシーが機能するために
トクヴィル「アメリカのデモクラシー」
教会を中心とした中間共同体の重要性→タウンシップと公共精神

安倍・橋下政治における選挙と民意
・敵へのバッシング・攻撃・嗜虐的愉楽
→橋下「僕のやり方が間違っていれば、次の選挙で落としてくれればいい。これが現代的な選挙の意味だ」
→安倍「(憲法解釈の)最高責任者は私だ。政府の答弁に私が責任を持って、その上で選挙で審判を受ける」
これはデモクラシーではない。

質疑応答
Q:では安倍主義とは何ですか
A:他者に対する非寛容
  大平さんの言葉「政治とは60点である」
  100点は誰かを踏みつける
  その100点を目指すのが安倍主義
 
安倍政治はデモクラシーの基本的なテーゼを無視している
・民主制では大衆の熱狂と極端な政治家が結びつく危険性がある
→(例)ワイマール憲法下のドイツとヒトラー
・歴史的経験値として、民主制には為政者が独断的に決定できないような「安全弁」が装着されている
→議会制、二元代表制、憲法(立憲主義)
→安倍政治は様々な安全弁を破壊している。

 再び言うが、安倍政治というのは保守の名に値しない。
民主党は、日本の民主主義のために、正しい保守を目指すべき。