8/15 富士市戦没者追悼式 | 富士市議会議員 鈴木幸司オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 本日ここに、富士市戦没者追悼式を執り行うにあたり、戦没者の御霊に対し、ご冥福を心から申し上げ、謹んで哀悼の誠を捧げます。

 三百万余の尊い命が犠牲となった先の大戦が終焉を迎えてから、早くも69年という歳月が流れました。時が流れるのは本当に早いもので、来年70年という節目を迎えることとなります。終戦以来、国民皆様のたゆまぬ努力により、今日の平和と繁栄が築きあげられてきました。その中でも、戦争時代を生き抜いた、言わば生き証人の方々が、私たち若い世代に、原体験をお伝えして下さっていることの意味は大きく、それこそがまさに「平和」に寄与していることと思っております。
 ここ富士市でも第二次世界大戦での英霊数は3697柱。3697人の方が苛烈を極めた戦いで、祖国の安泰と発展を想い、そして何よりも愛しい家族を想いながら、戦場に散り、戦火に倒れ、遠い異郷の地で亡くなられました。
 遺族世帯数においては、今から25年前の昭和63年時には2367世帯だったのに対し、現在、その数は減少し1600世帯を切る数となってしまいました。最愛の家族を亡くされた方々には忘れることのできない戦争ではありますが、戦争を知る方々が、年々減少し、時代とともに悲惨な、しかし大切な記憶が遠のいているのも事実であります。

 世界に目を移しますと、宗教や民族問題等からテロや紛争が絶えず、今もなお多くの人が傷つき苦しんでおられます。アメリカ軍がイラクにてイスラム過激派を空爆したことは皆様の記憶にも新しいことと思いますが、これは、大量破壊兵器が存在するとの情報を手に、自衛権の名の下にはじめたイラク戦争が未だに尾を引いている結果であります。我々の隣国、北朝鮮においても、日本海に向けミサイルを撃つなど、非常に不安定な状態が続いております。このように世界を取り巻く状況が刻一刻と激変する中でも、わが国においては、専守防衛を軸に国民を守る体制を整える一方で、戦争によらない平和の実現のために、これからも全力で努力を尽くして参りたいと思っております。
 今日までにおいても、わが国は、戦争への深い反省から毅然として平和の道を歩み、専守防衛国家、平和国家として、国際社会の中でも確固たる地位を築いてまいりました。しかし、その日本が尖閣諸島問題などで隣国に向ける、国民の感情的対立を背景に、今まさに転換期を迎えようとしております。安倍晋三内閣総理大臣の下、国会軽視、さらには国民軽視とも言える集団的自衛権行使についての閣議決定がなされてしまいました。日本国の存立に関わり、国民の生命、財産に重大な影響を及ぼすであろうことについて、与党のみで調整を行ってしまった。これはまさに、権力の暴走だと言わざるを得ません。

 この夏、私はある戦争遺族の方から話を伺う機会がありました。その方は、「国家のための国民」という、今とは逆の状況を生き抜いた経験を基に、今の現状を「戦前のように戻ってしまっている」と危惧されておられました。この方はお年を召し、最後に、との思いで、私に語りかけて下さいました。この気持ちを思う度に、尊い犠牲の下に築かれた、平和を二度と手放してはならないと改めて胸に刻む思いであります。
 また、来年70周年を迎えるのを機に、非常に難しい問題ではあると思いますが、靖国問題、A級戦犯の分祀にも取り組むべきだと考えております。かくいう私も、「義殉」と刻まれた墓と遺影を今でも大切に守っている戦争遺族の一人でございます。遺骨は戻ってきておりませんが、この墓には祖父の弟が眠っております。祖父の弟は1944年11月、南シナ海で魚雷に撃沈され、わずか16歳にて戦死いたしました。

 このことから、私自身も静かに参拝できる時期を選び、戦争責任者とは区別をし、国のために命を落とした人々に手を合わせるために、個人として靖国神社を参拝しております。しかし、私がもっとも残念に感じているのは、1979年にA級戦犯合祀が判明したときから、天皇陛下が一度も靖国参拝をされていないという事実であります。国のためにと、尊い命を捧げた英霊がもっとも望んでいたことであろう陛下の靖国参拝が途絶えてしまっているのです。
 私は28歳のときに衆議院議員に当選し、これまでに大臣という立場も、そして原発事故の対応という国民皆様の命を預かるという非常に厳しい立場も経験させていただきました。私自らが国政という場に身を置く中で、やはり、戦争を阻止できる立場にあった方々は、国内外のおびただしい人命を犠牲にし、さらには国土を焼け野原にしたという結果に対する責任を免れることはできないと思っております。
 この国のために命を捧げた英霊たちに陛下がお言葉をかけられるよう尽力し、そして、そのような新たな環境を整える努力をすることで、未来への責任を果たしていくことを、ここにお誓い申し上げます。
 結びに、この地に眠る御霊の安らかならんこと、ご遺族の方々の御多幸を、そしてご参列の皆様のご健勝を心からお祈りし、私の追悼の辞とさせていただきます。

平成二十六年 八月十五日
衆議院議員 細野 豪志