3月30日は砂川事件伊達判決の日 | 富士市議会議員 鈴木幸司オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 元外務官僚の天木直人氏が安倍氏が側近に語った以下の発言を取り上げ、首相のことを批判している。
「日本は戦争に負けたあと、その、アメリカ人から見ても日本人から見ても日本は要はアメリカのポチだ、中国・韓国もみんなそう思ってきたんだろうと。だからその敗戦後の日本というのは、ワンワンと吠えることもできないと。これをまた、そのアメリカも韓国も日本も中国もみんなそう思ってきたんだと。で、その中で私が、ちっちゃく、ワンと一声吠えただけで、みんな大慌てになってるんだよねって。そして、ワッハッハッハッて本気で笑ったんですよ」(青山氏の語った安倍氏の肉声の抜粋)
 これをとんでもない勘違いだと言うのだが、本当にそうだろうか?もしかしたら安倍首相は、実は単純に「正直な政治家」なのではないか。
 奇しくも本日3月30日は、かつて日本全土を揺るがした「砂川事件」の伊達判決があった日だ。
 54年前のこの日、日本の司法は、憲法を戴く独立国として、法治国家としては至極真っ当な司法判断をした。米軍基地が日本国内に存在することは、戦力の不保持を規定した憲法第9条に違反している…というものだ。この判決直後の米国と日本外務省のやり取りが、米国の公文書に残っておりすでに公開されている。米国は藤山外相に対し、ただちに最高裁へ跳躍上告せよと要請し、岸内閣はそれを閣議決定、愛知法相は伊達判決を覆すべく全力を挙げることになる。
 さて、国際的な常識的として憲法解釈は、第1に各国の最高裁判所がするものであり、第2番目に国会が判断するものだと言われる。しかし、今国会で安倍首相は堂々と「憲法解釈は内閣法制局が担当してきた」そして「それを指揮する権限は私にある」だから「閣議決定で憲法解釈は変えられる」と答弁した。民主党をはじめとする野党はこれに轟々たる非難を加えたが、首相は蛙の面に小便の風情。それも考えてみれば当たり前、砂川事件という「前例」が首相の自信を裏打ちしているからだ。
 跳躍上告を受けた最高裁判所は伊達判決を破棄することになるが、この時も日本国外務省は米軍に対してどのような判決がふさわしいか「お伺い」を立てている。その結果、日本の憲法は日米安保条約の「下部構造」であるから、日本国憲法以下日本の法律には、日本国内の米軍と米国軍属についての判断を下す権限は存在しないとされた…つまり「米国は日本国内のいかなる場所にも、必要なとき、必要なだけ、軍事基地を有する権限を持つ」という現在の日米地位協定の骨格はこうして完成した。
 これはイラクに駐留する米軍の話をしているわけではないし、クリミアに進駐したロシア軍の話をしているわけでもない。どちらの軍隊も時期が来れば撤退しなければならない。それはイラクやクリミアの憲法が「外国軍による占領」を認めていないからだ。
 日本国憲法だけはちがう・・・だから安倍首相は、アメリカのお墨付きさえあれば「憲法の解釈は閣議決定で変えられる」と自信を持っているのだ。
「敗戦後の日本というのは、ワンワンと吠えることもできないと。これをまた、そのアメリカも韓国も日本も中国もみんなそう思ってきたんだと。で、その中で私が、ちっちゃく、ワンと一声吠えただけで、みんな大慌てになってるんだよね」
 この発言が本当だとすると、火遊びはいい加減にしないと、いつか大火傷をしないか、本当に心配になってしまう。