田中均氏の北朝鮮外交については様々な評価があり、多くの論者がその是非を論じてきました。しかし、論じたのが最高権力者となると、次元の違う問題を生じさせます。
安倍総理は、エントリーの最後を「彼に外交を語る資格はありません」と締めくくっています。田中氏はかつて外務官僚でしたが、今は一民間人。当然、外交について語る「表現の自由」を有しています。最高権力者に「語る資格がない」と断じられた田中氏は語り続けることができるでしょうか。仮に、田中氏が最高権力者の言に逆らって語る勇気を持っていたとしても、メディアは彼の見解をこれからも伝えることができるでしょうか。そのことも私は危惧します。
今のところ、最高権力者のこのような発信に対して厳しい報道はでてきていません。報道機関は、高支持率を誇る安倍総理の発言を正面から批判することを恐れているのかもしれません。意識的にか無意識かは別にして。
最近の永田町、とくに表現の自由に対する制限を明確にした自民党の憲法草案や、日本維新の会のグロテスクな憲法観を見るにつけ、人権や民主主義という基本的な価値観が実は危機にさらされているのではないかと感じています。(細野豪志@6/14)
これは安倍首相のフライングです。自分の功績を誇りたいだけかもしれませんが、それは「回顧録」に書くべきであって、現場を萎縮させるような発言を、現役の最高司令官がしてはいけません。(まだ訂正可能ですから「フライング」とだけ言っておきます)
私が時々「ヤン・ウェンリ語録」というテーマで、冗談めかして、「銀河英雄伝説」のセリフを引用しているのは、この小説では民主主義の長所と短所が見事に描き分けられていて、民主主義を学ぶ良い教科書だと思っているからです。
自由惑星同盟という民主主義政体は自壊し帝国に敗れますが、最後に・・・いや、興味がある方は手にとって読んでいただくとして、ここでは、最後まで民主主義を信じたヤンが、政府の腐敗を理由にクーデターをおこした「救国軍事会議」の政治家に言うセリフをご紹介します。
「貴官たちは言論の統制を布告した。それだけでも、貴官たちには帝国の専制政治や同盟の現在の政治を批難する資格は無い」
たった一人の言論の自由を奪った瞬間、権力者はその座から去る準備を始めなければなりません。実は、こうした一国の首相に対する批判を、ブログに自由に書けることが日本のいいところですが、時の権力者にはそれくらいの矜持をもってもらいたいものです。
細野豪志民主党幹事長が言うとおり、心配なのは、この首相発言に反応しない大手マスコミです。
マスコミの人たちには次の言葉を贈ります。
たった一人の言論の自由を奪った瞬間、権力者はその座から去る準備を始めなければなりません。実は、こうした一国の首相に対する批判を、ブログに自由に書けることが日本のいいところですが、時の権力者にはそれくらいの矜持をもってもらいたいものです。
細野豪志民主党幹事長が言うとおり、心配なのは、この首相発言に反応しない大手マスコミです。
マスコミの人たちには次の言葉を贈ります。
「政治の腐敗とは政治家が賄賂を取ることじゃない。それを批判することが出来ない状態を、政治の腐敗と言うんだ」(ヤン・ウェンリ)
富士市議会議員 鈴木幸司