11/8 第53回 地方自治経営学会 研究大会 報告書(その1) | 富士市議会議員 鈴木幸司オフィシャルブログ Powered by Ameba

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基調講演:片山善博(慶應義塾大学法学部教授・元総務大臣)

「地域政策と議会への期待」

 

・学校現場の課題

 まずは議員が現場を見る。問題山積の現地を直接見る、直接聴き取る。首長の出来不出来は選んだ住民の責任。しかし教育委員の人選は議会との共同責任。教育行政はだれがやるのか。大津市のように悲惨な事件があった時に、大津市だけでは無いが、教育委員会には「本業が忙しくて…」と言い訳する人ばかりだったりする。選んだのは首長でも、議会にはそんな人に太鼓判を押した責任がある。

 学校経営の責任者は教育委員会。現場を知らない教育委員がいるとすれば、これは保護者や生徒にとって大きな不幸。

 例えば不登校が多ければ、メンタルケアの専門家を置くとか、学校現場が本当に望んでいる事が何なのか、自分の後援者・支援団体ばかり回っていてはわからない・・・議員が生の声を聞かなくてどうするのか。
 私も公務員をやっていましたが、どこの職員も、うまくいってない事は、本当の事は、言いません。役所の職員の言葉だけが真実ではありません。ぜひ、公聴会などを利用して、それが出来なければ自らの足で現場をたずねて、実際のところを聞いてみて下さい。

 なぜ教育委員会の品質に問題があるのか? 子どもたちの教育環境を整備する事に情熱を持っているのか? 最低でも週に一回集まって、会合にでれるのか? 
 選任同意の前に文教委員会で見識を述べてもらい、ちゃんと質疑しましょう。
「あなたは週一度の会議に出れますか?」
それをきちんと問いかける事を保護者は求めています。それが本当の議会改革です。

 正規の教員と非正規の教員の比率を調べて下さい。97~100%の正規雇用率をみたしていますか?
 小泉改革で国庫負担金の割合が変わった。県の財政の不都合で一種のネコババが行われている・・・そんな時は県に対して文句を言いに行ってもらいたい。100%は東京都だけですよ、中教審のデータでは。
 そんな事も議員は知らない。市教委は県が怖くて言えないんですよ。

 

・雇用と地域経済の自立

 移出と移入の問題。鳥取県のエネルギー自給率は10%くらい。県の経済からいうと自立できていない。大幅な移入超過です。移入超過の部分を、高齢者が多いので、年金財源とか国庫負担の部分でお金が中央からきます。それで県の経済が回っているんです。

 だから、県の雇用が少ないのは当たり前です。ではどうすればいいのか。答えは簡単で、実行は難しいのですが・・・移入を減らして行く。自前で供給できるよう地元の産品を育てて行く。給食でも地元で調達出来れば、少しだけ地元の雇用が増えます。県ではペレットストーブを導入しました。貴重なお金をアラビアやら千葉県の精油所へ、千葉県が悪い訳じゃないんですが、持っていかれていたのを、わずかながらでも、地元の中山間地域に還元する事を考えました。

 鳥取県の主要産業はなんですか? 公共事業です(笑) 本当は農業とか電気機械産業なんですが。
 公共事業ではそのほとんどが地代に消えます。それが雇用に回るかと言うと、だいたい銀行預金に積まれてしまう。

 鳥取でも冷静に分析してみたんですが、儲かるのは都会に本社を構えた大手さんとか製鉄会社ばかりで、下請けさんはギュウギュウ絞られて、地域経済に波及しにくい。
 地代で払われた貯金が残るからいいんじゃないかと言われますが、残念ながら皆さんそのうちお亡くなりになります。山陽銀行に積まれていた貯金が、相続によって何時の間にか東京の銀行預金に積まれてしまう。

 大都市の人は耳を塞いでいていいんです。地域の地元の雇用の創出にちょっとでも地元に残るように、そう言う事につながるんであれば、公共事業にも意味がある。そこで、鳥取県では「ガードレール」に地元産の木材を使用する事を考えた。

 地域交通でもそうなんです。マイカーをなるべく使わないで、みんなが公共交通を使うようになれば、富の流出を止められます。みんながバスを使うようになれば、バスの路線網も充実します。良い方に回り始めます。

 

・議会の役割と責務

 今までのやり方でうまくいかなければ変えてみる。議員間討議を導入してみる。市職員に聞いてもうまくいっていない事は白状しません。議員間討議が出来ないのは目的意識が無いからです。

 

・質疑応答

 

「財政のところをもう少し伺いたい」

 今年の四月から借金のルールが変わってます。起債一件ごと議会の管理が必要です。最近、荒っぽい事をやらなければ官僚なんて変わらないわよ・・・なんて言ってる人がいますが、そんな事は無いんです。ちゃんとやれば出来るんです。ルールが変わったのですからやればいいんです。

「教育委員の任命について、首長に近い人事権まで入っていいのでしょうか」

 首長の提案したものを否決する事に躊躇いがあってはなりません。案なんですから。是々非々でNOと言ってもいいんです。案なんですから完璧なはずがないんです。悪意を持ってはいけませんよ。でもそんな事で人間関係は壊れません。議会には議会の役割があります。

 

「鳥取の日立撤退問題など、いい知恵があればお聞かせ願いたい」

 一つ一つのパーツを増やして行く。安易な企業誘致ではうまくいかない。少しづつ地域の地力を増やして行く。

 例えば指定管理と言う制度があります。図書館の民営化、自前の施設を自前で経営しようとしないで、残るのは低廉な雇用ばかりです。

 

(以上、基調講演。その2へ続く)