民主党と経済政策論 | 富士市議会議員 鈴木幸司オフィシャルブログ Powered by Ameba

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法政大学の小峰隆夫教授の上記論文から引用します。

 民主党の失敗の第1は、無駄の削減で各種政策を実行できるという約束が果たされず、結果的に財政の大赤字を招いたことだ。
マニフェストでは、子ども手当て、高校無償化、農業の戸別所得補償、ガソリン暫定税率廃止、高速道路無料化など13.2兆円に達する各種大盤振る舞いを公約として掲げ、その財源は「無駄の削減」によって賄えるとしていた。

 おそらく民主党は、国の総予算は200兆円以上もあるのだからから、13.2兆円程度のカネは簡単に出てくると考えたのではないか。その具体的なプロセスがすっかり有名になった「事業仕分け」だったのだが、この結果出てきた財源は数千億に過ぎず、マニフェストで約束した施策の実現には全くの焼け石に水であった。この結果、財政赤字は急拡大した。要するに、マニフェストで示された公約の大部分は借金(赤字国債)によって賄われたということである。

 第2は、官僚を使いこなせなかったことである。民主党のマニフェストを改めて読み直してみると、官僚不信が極めて色濃く流れていることに驚く。マニフェスト冒頭には政権構想の5原則と5策が掲げられているのだが、5原則の第1は「官僚丸投げの政治から、政治主導への政治へ」だし、5策の第1策は「国会議員100人を政府に配置」、第2は「事務次官会議を廃止して、意志決定は政治家で」、第4は「官僚の幹部人事は政治主導で」、第5は「天下りの禁止」だ。「官僚を排除して政治家が物事を決めれば全てうまく行く」といわんばかりである。
 私は自身が官僚出身ということもあり、この官僚排除のマニフェストにかなりの違和感を覚えていた。おそらく民主党は、「官僚は自民党と馴れ合いで、自民党のために仕事をしているのだから、そこを変えればうまく行くだろう」と考えたのではないか。しかし、そもそも官僚は、自民党のために働いていたわけではない。基本的には大臣は時の内閣に所属するものであり、その大臣の指示に従って仕事をすることは民主党政権に変わっても同じである。要するに、自分たちがやってほしいことを官僚に指示すれば良かっただけのことだったのだ。
 それを、マニフェストに従って何でも政治家が決めようとしたため、行政はかなり混乱した。テクノクラートとしての官僚を使わずに素人の政治家が何でも決めようとすれば、行政の効率がガタ落ちするのは自明である。効率の他にも、従来の経緯を踏まえずに新政策を唐突に打ち出したり、各閣僚が閣内の意思統一のないまま発言したりするといった場面も多くみられた。
(引用終わり)

 大学院の後期日程で小峰隆夫先生のもとで「経済政策論」を学び始めました。
 細野豪志国政報告会の当日も午前中は小峰先生の講義を受けてたんですが、その日は「民主党マニフェスト批判」のオンパレード。授業中、私が民主党の市議会議員であることを知っている同僚達の視線を背中に痛いほど感じました・・・orz
 
 先生は、
現行制度の下では自民党と民主党の政策には違いがなくなる・・・これをホテリング現象といいます・・・ことを解説し、マニフェストに拘り続ける弊害を説かれました。
 詳しくは、記事の全文を読んでいただきたいのですが、教条的なマニフェストに拘るのではなく、小泉政権下の
「経済財政諮問会議」を再開し、流動化する社会情勢に機動的に対応することが必要だという提言は、立命館大学の上久保准教授(かみぽこちゃん)の以前の指摘とピッタリ重なります。
 
 かみぽこちゃんに至ってはもっと端的で、英国の現状を引用しながら、「2大政党制の下では、選挙が終わればマニフェストは捨てられる」と身も蓋もないことを言い、民主党が国民政党に脱皮する為には、政権交代後は「支持者の喜ぶ政策より少し右」の政策を採用しなければ政権運営はできない・・・それが議会制民主主義の真髄だ、と主張していました。
(かみぽこ政治学
http://plaza.rakuten.co.jp/kingofartscentre/2008/

 日経ビジネスオンラインの記事は一年前に書かれたものですが、民主党の現状を見事に言い表しています。生きているテーマを題材にした「経済政策論」の今後の展開が楽しみです。

法政大学大学院政策創造研究科 鈴木幸司