2012・2・9~10 研修レポート (自治体財政を読むー地域再生への予算審議のポイント)その3 | 富士市議会議員 鈴木幸司オフィシャルブログ Powered by Ameba

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第5講義「地方交付税のヒミツ」
小西砂千夫(こにしさちお) 関西大学大学院経済学研究科


1.地方交付税は国税5税収入の一定割合・・・ではない

 地方交付税法第6条に「所得税及び酒税の収入額のそれぞれ100分の32、法人税の収入額の100分の34、消費税の収入額の100分の29.5並びにたばこ税の収入額の100分の25をもって交付税とする」と書かれているため、国税収入の一定割合だと思われているが、その第6条の3第2項に「交付すべき普通交付税の総額が(中略)各地方団体について算定した額と著しく異なる場合においては(中略)率の変更を行うものとする」とあり、各地方公共団体の実情に応じて変更されている。つまり、国税収入の多寡にかかわらず、地方交付税は必要な分だけ支給される。

2.基準財政需要額は標準的財政経費・・・ではない

 基準財政需要額=単位費用(法定)×測定単位(国調人口等)×補正係数(寒冷補正等)
と決められているが、前項で解説したように各地の必要に応じて支給される普通交付税と留保財源を加算することで上記の単位費用は融通無碍に変化する。従って標準的財政経費とは一致しない。

3.地方債の安全性は自治体が保護されているから・・・ではない

 地方公共団体の財政の健全化に関する法律によって、「早期健全化基準」「財政再生基準」が定められているが、早期健全化状態に落ちた公共団体であっても、人件費の一割カットにより平均7年間で再建可能。上記の留保財源によって地方自治体の健康状態は守られている。ただし「粉飾決算」を行っていた夕張は別。もはや手の施しようがない。

 こうした3つのヒミツを解き明かし、日本の財政は案外大丈夫なのだとしながらも、「市場の凶暴性」については計算不能であり日本政府が一旦隙を見せたら、国債暴落の可能性がある・・・だから野田政権は「税と社会保障の一体改革」と消費税増税に踏み切らざるを得ない。隙を見せたら即死だからだと結ぶ。



 以上、2月9日・10日の二日間、政務調査費を利用して私が派遣されました自治体議会政策学会「第14期自治政策講座in品川」の報告とします。

富士市議会議員 鈴木幸司