2012・2・9~10 研修レポート (自治体財政を読むー地域再生への予算審議のポイント)その1 | 富士市議会議員 鈴木幸司オフィシャルブログ Powered by Ameba

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第1講義「自治体財政入門・財政運営の仕組み」
町田俊彦(まちだとしひこ)専修大学経済学部教授


日本における中央・地方政府の財政関係を研究する一方で、ドイツの財政再建についての研究に取り組んだ町田教授の講義。
自治体の歳入の実際から、日本の地方自治体の現状を語り、独自の視点で「協調型」「統一型」分権システムを語る。
例えば、歳入の自治が定常化しているアメリカには「地方交付税」というもの自体がない。この国は「競争型」「分離型」分権を国是としている。都市間競争に負けたもの、自分の身を自分で守れないものにはつらい現実が待っており、そうした最低限の財源保障のない自治は、下流社会へと流れていくことになる。
日本では歳入の自治を認めてこなかった。これまでは、借金のための起債には国の「許可」が必要だったのだ。それが民主党の「地域主権」の掛け声と共に、一括交付金や標準税率未満の課税が可能になった。(「地域主権」を最初に唱えたのは麻生政権。自民党はなぜこの言葉に過剰反応するのか・・・町田教授談)
「国と地方の協議の場」無くして、日本型の地域主権は成立しない。

ここから先の講義は、町田教授の近著「歳入からみる自治体の姿」に重心を移していく。
国においては、歳出が歳入を決める。しかし、各地方自治体は歳入が歳出を規定する・・・だから地方財政は破綻しにくい。
総務省のサイトから、各市町村の「決算カード」を見ることが出来る。その決算カードの「歳入の状況」(F市の場合)を取り上げ、決算カードの利用方法を解説。(詳細は「歳入からみる自治体の姿」参照)

第2講義「自治体財政と原発ー電源立地促進財政制度は何をしたのか」
清水修二(しみずしゅうじ)福島大学副学長


あれ?塩川正十郎さん?と見まがう風貌の清水副学長が、淡々と原発誘致を語る・・・福島は単なる犠牲者じゃなく、進んで誘致に手を上げたのだと。
電源三法は原発を誘致した自治体に巨大な恩恵を与えてきた。
「このカネで箱モノや道路を作らせる。用途を決めないと食っちまうから(人件費にあててしまうから)」
この目的税に、政府の本音が見え隠れすると解説する。莫大な補助金は、地域政策ではなく国の産業立地政策だったのだ。
巨大なリスク、計測不能な絶対的損失、事故を起こしてはじめて気がついた。これは農村部で発生する「不利益」を都市部の電力消費者が購うしくみだったのだ、我々は騙されたのではない、これは相互依存関係だ・・・冷静な口調の端々に悔しさをにじませる。
福島の核廃棄物も最終処理は青森に依存していた。東京→福島→青森という弱いものがさらに弱いものに押し付ける依存関係を「環境負荷の多段階転移」と清水氏は名づける。

最後の30分の質疑応答は、原発推進派の市議会議員たちとの間で、ヤジも飛び交う激しい応酬となった。
「同胞がこんな目にあうのを目の当たりにして、あなた方はそれでも電源立地交付金が欲しいのですか?」
清水副学長の言は手厳しく、そして重たい。
最後に個人的意見として
「細野大臣の福島の放射能ゴミは福島に処理施設を、というのは至極当然な話だ」
と自省する。
私たちは福島県に、大きな十字架を背負わせてしまった。

富士市議会議員 鈴木幸司