週末も、S氏のわたりが大きく報道されているようです。私としては、S氏個人の「わたり」よりは、その前後にも農水省OBが続いている「わたりの仕組み」そのものを強調したかったのですが、そこはあまり報道されていないようです。個人攻撃はしたくないが、事例を挙げないと実態が分からないのが、こういった問題を取り上げる際のジレンマです。ここへ来て、ようやく「わたり」の全貌が垣間見える情報が出てきましたので、来週以降は、仕組みに焦点を当てた質疑をしたいと思っています。細野豪志 2/7
昨年、厚生労働省の元事務次官の自宅が襲われ、3名が刺殺される事件が発生し、マスコミは「年金テロ」だとの報道を繰り広げた。後日、犯人は逮捕され事件は解決を見たが、それ以来、国会質問でも官僚への個人攻撃にならないよう、批判のトーンを下げざるをえなくなっている。
暴力で解決しようという短絡的な行動は、「自由な言論」を封殺したいと考える一部特権階級を、結果として利することになった。
「S氏」が誰なのかは問題ではない。日本の政治風土に民主主義が根付くのか、それとも明治以来の伝統である「官僚内閣制」が続くのか・・・いま日本の民主主義は重大な岐路に立っている。
「なんでも政局にしたがる」と批判されようとも、民主党は追求の矛先を鈍らせてはならない。「実名」を出さなくても、実は高級官僚みんながやってることなのだから・・・一部の人間の血を流したところで、赤字財政の出血は止まらない。
年間27000人の天下り人事。天下りする役人一人あたり平均4億5000万円の事業費が巨大な闇に消えている。総額12兆円。
「天下り」自体が問題なのではない。自民党が言うとおり、「受入れ先からの希望」によって再就職されているのならそれでもいい。しかし天下り受入れ先に対する「持参金」として支出される事業費が毎月1兆円にも上っている。
トンネル法人による毎月1兆円の巨大な「無効経済」・・・これが天下りの実態であり、渡り官僚の高額な賞与や退職金の原資になっている。この壮大な無駄遣いこそ細野豪志が追及し続けた「埋蔵金問題」の本質なのだ。
総額2兆円の給付金の比ではない。この巨大な「無効経済」の半分でも有効に活用することが出来れば、財政規律を保つことが可能になる。だから民主党は「消費税増税なしで財政再建できる」と方針を変えた。
以前は「埋蔵金」の存在すら認めなかった自民党もまた最近方針を変えたようだ。
消費者行政や雇用問題、そして「かんぽの宿」の不自由競争入札の問題など、民主党が麻生政権に同調可能な政策課題もある。
公務員制度改革も場合によっては賛成してもいいじゃないか。そうした公益法人も、一般社団法人やNPOと競争させることで「特権待遇」を廃止された後ならば、自由に渡り歩いてもらってもかまわない。しかし「持参金」抜きでも天下りを希望する受け入れ先があるかどうかは関知しない。
小泉さんと竹中さんが推し進めた「新自由主義」というのはそういうものだったはずだ。今後そうなると感じたから国民は痛みを受入れ、「小泉改革」を熱狂的に支持したのに、今頃になって「私は賛成じゃなかった。濡れ衣だ」と言うなら、この内閣は小泉政権からの連続性がない事になる。
自ら政権のレジテマシー(正統性)を否定するのならば、あの選挙で国民の負託を受けた300議席を返す、もしくは解散総選挙によって国民の信を問い直す必要がある。
この発言は自民党衆議院議員一人ひとりの議席の正当性をも否定するものだ。麻生首相はそれらの議員を「敵」に回して、今度は誰を「味方」につけようというのだろうか。
麻生さんの真意が解らない。
yan