天下りバンクの問題点 | 富士市議会議員 鈴木幸司オフィシャルブログ Powered by Ameba

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細野豪志の両忘記(りょうぼうき)♯62
『天下りバンク』(2007/5/19)

■天下りバンク法案の審議スタート
国民投票法案、教育関連法案などの重要法案が衆議院を通過していく中で、
いよいよ、天下りバンク法案の審議が始まりました。火曜日の本会議に続
き、金曜日、内閣委員会で法案で質問に立ちました。わが党も「天下りバ
ンクシフト」を引くことになり、私の所属も経済産業委員会から内閣委員
会に移りました。

この法案の最大の論点は、天下りバンク(政府名:官民人材交流センター)
とは一体、どのような組織で、どのようにして、天下りを推進(政府答弁
によると再就職支援)をしていくのかということにあります。

渡辺大臣は、本会議でも委員会でも「有識者会議で検討します」という答
弁を繰り返しました。内閣委員会では、渡辺大臣に対して、私も譲らずが
んばり、何回か審議が中断しました。永田町用語で、いわゆる「止まる」
というやつです。審議を「止めた」のは、久々です。委員会質疑が中断す
るのは、決して喜ばしいことではありませんが、審議が不十分なまま法案
を通すことは許されませんので、時として必要になります。

■民間企業への天下りの解禁
天下りの弊害は、4月27日号で指摘した通りです。政府案の問題の一つ
は、天下りの事前規制が放棄されていていることです。

これまで政府は、退職前の官職と密接に関係する営利法人への再就職を、
2年間禁止してきました。この規制の対象とならない独立行政法人に一旦
天下った後、2年を経過してから営利法人に天下る、いわゆる「迂回天下
り」によって、この規制のすり抜けが横行してはきましたが、天下りによ
る官民の癒着を予防する唯一の歯止めが、この規制であったことは、紛れ
も無い事実です。

ところが、今回提出された政府案において、この2年間の天下り禁止規定
は、削除されています。この法案が通れば、たとえば、金融機関を監督す
る立場にある金融庁の職員が、退職後監督先であった銀行に天下ることも
可能となります。今回の改正は、法律が制定された昭和22年から行われ
てきた天下りの規制の流れを、解禁へと180度転換するものです。

官僚の天下りがこれだけ大きな問題となっているいま、天下りを解禁する
法案をつくろうという考えが、全く理解ができません。

独立行政法人や特殊法人、非営利法人に対する天下りも、これまで同様、
制限されません。

渡辺大臣によると、天下り先は「有識者会議で検討」とのことですが、天
下り先をどこまで制限するかという本質的な問題を丸投げするようでは、
話になりません。

■独立行政法人などからの天下りは無制限
緑資源機構の問題では、所管である農林水産省から緑資源機構への天下り、
緑資源機構から関連法人への天下り、それに伴い補助金が国から緑資源機
構へ流れ、さらにその下の関連法人へ流れている構図があきらかになりま
した。ヒト・カネが国・独立行政法人・関連法人へ流れるまさに「三位一
体」の構造が典型的に現れた例です。

政府提出の法案では、独立行政法人や特殊法人からの天下りは、規制対象
になっていません。これでは、税金を浪費してきた「三位一体の関係」は、
到底崩れません。

別途提出されている政府法案では、不祥事続きだった社会保険庁は、特殊
法人である日本年金機構に衣替えされます。これまで、天下りが規制され
てきた社会保険庁の職員は、特殊法人になることで、天下りが全面的に解
禁されます。

■天下りのチェーン店を全国展開
天下りバンクの斡旋対象となる退職国家公務委員は、毎年5000人近く
になると予想され、内閣府に相当大きな組織ができそうです。

政府提出法案を見て最も驚いたのは、組織的に天下りを斡旋するために、
全国に天下りバンクの支所なるものが設置をされることです。天下りを、
全国チェーンで、展開しようというわけです。悪乗りが過ぎます。なぜ、
ハローワークの活用を考えないのか、理解に苦しみます。

支所の職員が非公務員になり、支所に官僚が天下る。また、関連公益法
人やファミリー企業が誕生し、支所の職員がそこに天下るというような、
ブラックジョークのような状況が生じることも考えられます。

■法案の成立は?
先週末になって、与党から本法案の今国会での成立を断念するとの声が
聞こえてきました。法案に自信がないのか、官僚と与党内の抵抗が怖い
のか、成立に向けた安倍総理の決意は揺らいでいるようです。

民主党は、天下り根絶法案を提出しており、中身に我々は自信を持って
います。税金の無駄遣いを徹底的に排除し、国民が求める社会保障など
の財源を確保するためには、天下りの根絶は不可欠です。

国会審議も最終局面。「天下りバンク」は、「消えた年金」と併せて、
キーワードとなりそうです。担当者となった以上、頑張り抜きたいと思
います。

◎細野豪志の「両忘記」(りょうぼうき)
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