“The greatest trick the devil ever pulled was convincing the world he did not exist”(悪魔が演じた最大のトリックは自分(悪魔)が存在しないことを世界に信じさせたことだ)


米国のサスペンス映画「ユージュアル・サスぺクツ」(1995年作)の最後の場面で俳優ケヴィン・スペイシーが演じたヴァーバル・キントが語る有名な台詞です。

スペイシーはこの役でアカデミー助演男優賞を獲得しました。


悪魔は神が存在しないことを人間に信じさせるために、先ず自分が存在しないことを宣言する必要があるのです。

自分の存在を否定してでも、「神はいない」ことを説得するためなのです。

悪魔が存在していれば、それでは神は何処にか、という問題が湧いてきますね。

だから悪魔は天地創造の神を否定するためにはどうしても「自分は存在しない」という高等な戦術を取ります。


フランスで啓蒙思想が広がり、フランス革命で人道主義が台頭、同時に、キリスト教会の権威は相対的に低下。

多くの知識人は教会が主張する世界観、神を否定し、人文主義と科学至上主義が時代を主導しました。

神の権威は揺れ、神の存在は懐疑的に受けとられ、その集大成として無神論的唯物思想が台頭し、神を否定する共産主義世界が現れました。

ここまでは悪魔の計算通り進んできたわけです。

神はいないのだ。妄想に過ぎない。現実の世界では一部の資本家が多数の労働者を搾取している。このような世界に神はいない、という世界観が生まれてきても当然なのです。

神はいないと叫ぶ人は増える一方、悪魔の存在についてはもはや議論の対象にも上がらなくなって来ました。


聖書の中で悪魔については約300回取り扱われています。


 悪魔について書けばオカルトと誤解され狂人扱いされます。

21世紀の今日、悪魔の業が増える一方、神の存在感は益々希薄化してきました。

悪魔は自身の業さえ神の不在のせいにすることで、神は益々批判に晒されるのです。


「この世の神」悪魔(サタン)は、地上の人間に「自分は存在しない」と信じさせることに成功している時代なのです。


イエスは振り返って、弟子たちを見ながら、ペテロをしかって言われた、「サタンよ、引きさがれ。あなたは神のことを思わないで、人のことを思っている」

マルコによる福音書 8:33 口語訳‬