御即位記念十万円プルーフ金貨
偽造対策のため凝りに凝りまくったホログラムのスラブケース入り
裏面
通常版
御即位記念十万円金貨
・「五七の桐」と「日本国」のホログラムのブリスターパック入り
年銘: 平成2年
・ <表>鳳凰と瑞雲
・ <裏>菊花紋章と桐と唐草
・品位: 純金
・直径33.0mm
・厚さ2.4mm
・ 量目30.0g
・販売価格:十万円
・製造期間平成2年10月〜平成3年3月
・引換開始日:1991年(平成3年)4月10日
・発行数: 190万枚
裏面
偽造対策:ブリスターパックに精密な文様を施し、通し番号を印刷した特殊な紙を封入した。
封入された特殊な紙(紙幣印刷に用いる大蔵省印刷局の高度な技術を採用した)
天皇陛下御即位記念10万円プルーフ金貨幣セット(単独)外箱
加水分解して表面の合成皮革がベトベトになって、こそげ落ちまくっている悲惨なケース。御慶事の品なんだから、もっとマシな業者を選んで欲しかった。
【昭和64年】1989年1月7日
皇太子 明仁親王(55歳)が第125代天皇に即位
平成二年法律第二十九号
(平成2年6月13日)
天皇陛下御即位記念のための十万円の貨幣の発行に関する法律
第一条 政府は、天皇陛下御即位を記念するため、通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律(昭和六十二年法律第四十二号)第五条第二項に規定するもののほか、十万円の貨幣を発行することができる。
ケースを出し入れする度にケースの表面の合成皮革がこびり付く外箱の内部
平成二年政令第二百四十五号
(平成2年8月10日)
天皇陛下御即位記念のための十万円の貨幣の形式等に関する政令
輸入経路の捜査状況
平成9年5月の時点
国内コイン商C社は1,000枚
(平成2年1月29日、富士銀行日本橋支店に入金して事件発覚)
国内コイン商B社は4万3,094枚
(昭和63年8月から平成2年1月までの間、31回にわたり十万円金貨を輸入していた)
上記の2社は同一の英国人コイン商から購入。
(この英国人コイン商の入手経路はスイスのコインブローカーE1から購入)
国内コイン商A社は6万1,750枚
(スイスのコイン商D社から昭和63年3月から平成2年1月頃までの間に43回にわたって十万円金貨を輸入し国内の銀行に入金)
(スイスのコイン商D社の入手経路はスイス・ユニオン銀行ジュネーブ支店から購入した)
(スイス・ユニオン銀行ジュネーブ支店の入手経路はスイスのコインブローカーE1から購入)
(スイス・ユニオン銀行ベルン支店もスイスのコインブローカーE1から十万円金貨2,176枚を購入し、同行東京支店に送付している旨の捜査結果報告を得た。)
*偽造事件発覚11日前の平成2年1月18日にスイスのコイン商D社(代表D1)から十万円金貨2,000枚を輸入したA社の代表取締役A1は前記D1からの依頼により翌日、大阪造幣局に赴き、前記金貨のうちの2枚(うち1枚は、後日、偽貨と判定されて警視庁に押収された)についてその真偽の鑑定を依頼した。これを受けた造幣局作業管理部研究室長F1は、A1の持参した金貨をブリスターパックを開披することなくルーペで観察し、おそらく真貨であろうと推定する趣旨の発言をした。しかしそれ以上に断定的な言い方はせず、A1に対し真偽鑑定規則に基づく正式鑑定の手続を説明した上、正式な鑑定に際しては金貨を切断したり溶解したりする必要がある等と述べている。これらを聞いたA1は、金貨2枚はいずれも真貨と判定されたと即断し、その後に大阪造幣局に対し正式鑑定の依頼をすることは無かった。
偽造金貨の鑑定状況
スイスのコインブローカーE1を供給源として、日本に輸入あるいは送付された十万円金貨の総数は、昭和63年3月から平成2年2月10日までの間に10万8,020枚となっていた。
(2)警視庁捜査第三課員は、10万8,020枚の十万円金貨のうち差し押さえたもの合計4,200枚以外の十万円金貨の追跡捜査を行い、所在が判明した1万8,099枚について、所有者・保管者等から任意提出を受け、十万円金貨2万2,299枚を、平成2年1月から平成4年4月までの間に科学捜査研究所及び大蔵省造幣局の鑑定に付したところ、その全てについて偽造であるとの鑑定結果を得た。
また、日本銀行発券局においても、同行に入金されている十万円金貨について大蔵省造幣局に鑑定を依頼したところ、うち8万5,647枚が偽造と鑑定されたため、それを受けた同行は、右8万5,647枚を捜査第三課員に任意提出した。
従って、捜査第三課員の押収にかかる偽造と鑑定された記念金貨は10万7,946枚に達している。
捜査第三課はスイスのコインブローカーE1の偽造金貨の入手先等について、捜査官をスイスに派遣する等して捜査を続けているが、捜査は難航しており、捜査員の人数も、当初の30人から平成6年2月には4人に縮小された(スイスのコインブローカーE1は平成7年12月に死亡した模様)。捜査第三課は、前記各金貨のほか、別の所有者・保管者から任意提出を受けた1万8,099枚及び日本銀行発券局から任意提出を受けた8万5,647枚を含め、合計10万7,946枚の金貨の押収を継続している。
損害賠償請求事件
東京地裁平四(ワ)第八〇〇九号
平9・5・26民事第一八部判決
原告:英国人コイン商
被告:東京都、国
判決
主文
一 原告の請求をいずれも棄却する。
二 訴訟費用は原告の負担とする。
❶偽造の疑いがあるとして司法警察員がなした十万円金貨の押収につき国家賠償法1条所定の違法がないとされた。
❷大蔵大臣及び税関長から受けた外為法上及び関税法上の輸入許可の審査は当該支払手段が真貨であることを前提に行われる公益的なものであって、右審査をする職員に個々の国民との間で通貨の真偽を確認すべき法的義務はないとされた。
❸造幣局のF室長がA1に対して行った対応は、天皇金貨の真偽の非公式打診に対する感想を述べ正式の鑑定手続の教示をしたにすぎないと解されるから、同室長の右行為をもって国家賠償法一条一項の適用上違法であると解することはできないとされた。
おしまい完