声楽をやっている者は、
喉の調子がいつも気になるのか
大抵、ポケットやカバンの中に
「のど飴」を忍ばせていたりする。
ちょっと喉がいがらっぽくなったり
空咳などするようだと、
直ぐにのど飴を取り出して
一粒口のなかに放り込むのだ。
空気が乾燥している冬や
エアコンが効きすぎている夏、
歌い過ぎて喉がボテっと腫れた時
レッスンの順番待ちで
緊張している時などにも
なにかと「のど飴」があると
便利だったりするもの。
それだけに、皆、
「のど飴」については
なかなかの拘りがあったりする。
「のど飴」なるものを
私が最初に意識したのは
小学校に上がったばかりの頃。
風邪をひいたときに咳止めとして
母がくれた「浅田飴」を舐めたのが
のど飴の初体験だった。
当時はのど飴と言えば「浅田飴」一色で、
水飴タイプとドロップタイプの2種類を
テレビで宣伝していたと思う。
…どちらかというと、
「のど飴」ではなく「咳止め」の
用途に使われていたようだけど…
私の母は喘息の持病を抱えており
人と会う時以外はマスクをして
浅田飴の缶をいつも身近に置いていた。
寝ている時ですら
一度咳が出始めると
どうにも止まらなくなって
喉を枯らしてしまう母にとって、
咳止めと喉の潤いのためにも
浅田飴は欠かせなかったようだ。
母ほどではないが
私も喘息の気を受け継いでおり、
やはり、のど飴やキャンディの類を
手放せなかったりする。
小学生の頃はもっぱら
母から与えられた浅田飴だったが、
正直な話、あまり美味しいとは思わず、
どちらかといえば苦手だった。
まあ、
当たり前といえば当たり前の話で
浅田飴はあくまで薬(第二種医薬品)なので
お菓子の飴とは違うのである。
中学・高校の時は
「ヴィックス」のドロップを
のど飴として舐めていたが、
やはりこれも準医薬品の扱いなので
味よりも薬効を優先しており、
数粒も続けて舐めると
気持ち悪くなったりしたものだ。
「のど飴は確かに
喉がスースーしたり
病気と呼べるほどではない
喉の荒れやイガイガが
収まるような感じになるが、
そうした喉の違和感が収まる前に
のど飴の舐めすぎによる
気持ち悪さが勝ってしまったのでは
本末転倒ではないか‥‥?」
そういう考えになってからは、
「のど飴」だけに範囲を絞らず、
舐めて喉に負担がなく
リラックスできるものを
求めるようになった。
・・・とはいえ、
本当に喉が不調の時は
迷わずトローチや
薬効のありそうなのど飴に
手が出たりするのだけどね。
※写真はのど飴イメージ(写真ACより)