⇒第1話『ヒロトの原点』
ヒロトは意気込んでいた通り、
初日からサッカー部に入部した。
サッカーだけは自信を持てていた。
サッカーだけは真剣に打ち込んでいた。
サッカーこそが当時の人生全てだった。
そんなサッカーだったが、
大学のサッカー部に入部し、
そこで、完全な挫折をすることになった。
今まで学力では周りに負けていたが、
サッカーでなんとか権威を持ち続けていた。
しかし、そのサッカーでも
通用できない世界にぶちあたったのだ。
ヒロトが進学した大学は、全国から
学生が集まっている。
スポーツ推薦で入学した以外でも上手い人間は
腐るほどいるのだ。
そこで初めて、ヒロトは
『万年補欠』という体験をすることになる。
3年生の自分たちの代での新チームで
試合に出たことはあったのだが、
4年生の時に、入部したばかりの1年生に
ポジションを奪われ、補欠に舞い戻ってしまった。
結局、引退する最後まで
レギュラーになれなかったのだ。
でも「これで良かったんだ」と
ヒロトは思った。
サッカーという唯一の特技。
でもそれも所詮は狭い世界での特技。
この特技のせいで、
いろいろなことから逃げてきたのだから。
自分になにもなくなって初めて、
人生を一から考えるようになったのだ。
でも、補欠として4年間びっちり部活をやり続けたことは
ヒロトにとってとてつもない経験になったのは事実。
同じように組織論を学んだ。
今度はリーダーではなく、
末端の役割、リーダー補佐、ナンバー2の役割を知った。
リーダー(キャプテン)という権力者の裏には、
それを支えるたくさんの『役割』を持つ人達で構成されている。
リーダーだけやっていると、
彼らの存在を知らずに過ごすこともある。
それを自らの体験で
ヒロトは知る事ができた。
大きな体験だ。
ヒロトの組織論が
これにより、より完成度が高くなったのだ。
さらに・・・
実は大学時代には、
ある初めての体験をした。
それはアルバイト。
ヒロトにとって、
初めて仕事(ビジネス)を体験したのだった。
そこでの出会いが後のヒロトの人生を大きく変えたのだ。
ヒロトが選んだのはイタリアン飲食店のスタッフ。
住んでいたアパートから近かったということもあり、
ヒロトはそこで4年間、働き続けた。
ここでビジネスという世界を知ることとなった。
ヒロトはハイレベルなルックスだったので他のスタッフや
女性のお客さんからもチヤホヤされていた。
大学時代はずっと、
サッカーでは日陰だったので、チヤホヤされるのは
久しぶりで居心地が良かった。
何よりも仕事が楽しかった。
お皿を洗う。
ドリンクを作る。
メニューを運ぶ。
お客さんと話す。
お給料をもらう。
全てが新鮮だった。
サッカー以外の生活を初めてしたような気がした。
新鮮意外に衝撃的だったのが、
その店の『オーナー』だった。
後にヒロトが
転職して入社した会社の社長となる。
『I』社長だった。
ヒロトが初めて『I』社長と出会った時、
ヒロトは20歳、『I』社長は28歳だった。
『I』社長の腕にはロレックス。
スーツはアルマーニ。
車はベンツ。
要するにお金持ちだった。
ヒロトは衝撃を受けた。
中学生の時になんとなく思い描いていた『お金持ち』。
友達の親は医者や弁護士。
代々継承される企業の社長。
そういう『お金持ち』は見てきたが、
『I』社長の『お金持ち』というのが
自分のイメージとちょっと違っていた。
俗に言う、『成り上がり』というやつだ。
そして、その衝撃は
一瞬で『憧れ』へと変わっていった。
この時ヒロトは、初めて出会ったのだ。
『起業家』という存在に。
『I』社長には可愛がってもらった。
『I』社長の豪快な私生活も見せてもらい、
いつしか憧れの存在へと変わっていたのだ。
純粋に大人を尊敬し、憧れるというのは、
初めてだったのかもしれない。
そして時間が過ぎて行く。。。
結局ヒロトは、昼はサッカー、夜はアルバイトという
生活を過ごした。
そして同じように将来の選択を迫られるようになる。
今回は大学進学の時とは違う。
『就職を決める』という『最終選択』だ。
やはり、
まだ決めたくない。
逃げたい。
ヒロトはサッカーとアルバイトに打ち込む。
考えたくないから。
でも、周りが就職活動を始めている中で
ヒロトも焦りを感じ、なんとなく就職活動を始めた。
就職活動を始めた頃にアルバイトが終わった夜、
『I』社長と話している時にこう言われた。
I「ヒロト君さぁ、大学卒業したら何するの?」
ヒ「一応、就職するつもりです。」
I「どんな仕事するの?」
ヒ「まあ、あの一流企業に就職できたらいいかなと・・・」
I「へぇ~、、、要はあんま決まってないんだろ?」
ヒ「ギクッ、まぁ、そうですね。。。」
I「だったら俺の会社入れよ!これから事業拡大するから、
若くて才能のある人材が必要なんだ。」
『I』社長は投資ビジネスにも能力に長けている方で、
飲食店経営から発展し、
経営コンサル、投資業で事業を拡大していた。
ヒロトは、「考えさせて下さい」と答え、
悩んで悩んだあげく、親を安心させたいとの思いから
結局、就職活動を続け、世間的には優良な上場企業へと
就職することになった。
強い後悔と『I』社長に対しての申し訳ないとの思いも
あったが、大きな物に巻かれる人生を選んだのだ。
ヒロトにとって大企業という大きな組織で働くという
新しいステージの幕開けだった。
⇒第5話 『始発から終電まで働く新人』
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