【江差の繁次郎では無く、厚沢部の目名生まれの福田繁次郎「一番どり=鶏」】
あるニシン場に来たかの繁次郎「どんだヤ親方 オレばやどってけれ」と、
親方はジロリと見て「ずんぶカンツケだわげもんだども 一人前にかせげるのが?」と、
「ヤーヤ親方オラだば一人前どころか二人前でも三人前でも稼ぐって評判の男だマス。
なんたって 朝早くて一番どりよりも早いんだまス」と、
「そんだばマア かせんでもらうが」と、
「そんだまスそんだまス、オラば雇えば得だまス。
沖サ行って稼げば、鯔=とどもかなわねし、山で働けば、煙だって
言われるほど手早く仕事出来るんだまス」
そんな売り込みの繁次郎だったが、
即興のわいせつなソーラン節でも歌わせれば、三人前だが、
仕事はカラケッツなのです。
ところが繁次郎、一番どりどころか、沖から朝舟が帰って来てもまだ起きない。 親方はあきれ返ってしまって
「コラッ 繁次郎いつまで寝てるんだ?一番鳥よりも早いんでねがったのが、他の若い者は朝早く起きて
沖サ行って網お越しして帰ってきてるんだど。二人前三人前働く話どうやったんだヤ?」
「オラハア 一番どりよりも早く起きて小便してまだ寝るんだマス」
※いかに情報が少ない時代とは言え これで生涯暮らせたことが
不思議でたまらないのです。が、※
◎言葉の説明
○一番どりは、火を使う人で既述してあります。
○かんつけ=体のつくりが、バランス良く育ってない。背丈が低い。
○二人前
二人分働く、の意味。
沢山働いたと、親方が認めたら、切り上げの時に、脇に呼んで、コソットお金をくれたものだそうです。
それをほまずと言い。今のボーナスの始まりだとか?、またニシン場では後になって九一=くいちと呼ばれるようになったのですネ。九一=くいちとは、総収入の九割が親方の取り分で、一割がヤン衆たちの取り分でした。
○朝舟=あさぶね
午前2時くらいに沖に出て、網おこしをして、魚を舟に積んで帰って来た舟。