「わが国の歴史上の各時代の中でその混乱ぶり、無味不毛な点でメロヴィング時代に比べられる時代はないということ、これは今日いわば通り文句のように人の口の上に上ることである。この時代のこととなると、人はごく当然のこととしてして省略し,その上を上すべりし、何の気づかいもなくその脇を素通りしてしまう。(中略)メロヴィング時代の歴史は、整理がいささか面倒ではあるが、決して無味不毛ではない。それどころか、そこにはさまざまな異常な事実、独特な人物、劇的な事件がおびただしく山積していて、そこ9で人が感じる困難といえば、それはただそのような厖大なディティールをいかに整理すればいいのか、ということだけなのだ」(オーギュスタン・ティエリ著「メロヴィング王朝史話」小島輝正訳、岩波文庫。原著者序文より)
フランス最初の王朝である「メロヴィング王朝」(501~751年)は、「大移動」してきたゲルマン民族の一部であるフランクというグループが現在のフランスの地で先住民「ガリア人」と抗争して征服そしてまた、内部抗争と外部抗争(他のゲルマン民族グループやフン族を含む異民族)を繰り広げて、徐々に「フランス」の原型を作り上げたといいます。そのメロヴィング王朝の歴史を、史料を駆使して「史話」としてまとめたのがこの著作「メロヴィング王朝史話」。
著者のオーギュスタン・ティエリ(1795~1856)は、バルザック(1799~1850)と全く同時代の人。バルザックは、その生きた時代の社会と人間模様を描ききろうとしたとされていますが、ティエリはそのバルザックが描こうとした「フランス」ができあがってくる時代の「さまざまな異常な事実、独特な人物、劇的な事件」を整理して今に残してくれました。
この本、30年ほど前に一度読み始めて、そのゴチャゴチャした内容に負けて、読書中断したままでした。が、私の今年は「フランス」の年(急にそういうことにしました)なので、いま再チャレンジしています。
明日(4月1日)にはNHKラジオで新しい内容の「毎日フランス語」が始まります。今年は「パリ五輪」の年で、マスメディアはフランスを多く取り上げるようですが、五輪嫌いの私には、これは痛し痒し。せめてサッカーを楽しみますが・・・。
良いことは「まいにちフランス語」のテキストは「五輪騒ぎ」していません。あくまでも「パリの五輪」ですからね。大阪の破綻しつつあるカジノ万博を全国で流行らせようとしている日本とは違って、この辺がフランス的です。
さてと、今日は、昨日の出歩きで疲れた身体を休めて、朝散歩(そういう気候になりました)のときに買ってきた新聞読んだり、耳慣らしに「テレビでフランス語」の過去内容を楽しんだりして過ごします。フランス映画も1本見ようかな。
良い日曜日を!
☆写真/画像は、朝散歩で写した西新井側暗渠上緑地(練馬区の中村南から豊玉)の花々。2枚目は開花したソメイヨシノ(葉も一緒に出てきてます)。岩波文庫「メロビング王朝史話」(上・下)のカバー。2012年のテレビでフランス語の5、6月テキストの表紙。
↓一昨年の今日のブログ。一昨年の今日は豊玉のソメイヨシノが散り始めていました。