2011年の大地震の前後に、日本の漫画シーンに登場した二つの名作。「星守る犬」と「呪詛」が、いずれも再編成された「定本」の形になって、最近相次いで発売されました。
二つの作品は、趣はかなり異なるものの、読む人の心を大きく揺さぶるような作品です。
「星守る犬」(村上たかし:双葉社、1300円+税)は、その本の帯書きに原田マハさんが「本書を閉じたあと、そっと胸に抱いてやって下さい」と書かれている通り。たまらないほど切なく、かつ心優しくなれるような作品。幸の少ない犬たちと、それに寄り添うような人間たちの物語。
私は読みながら泣いてしました。
一方、「呪詛」(花輪和一:KADOKAWA、1400円+税)、中世以降の日本を舞台にした“怪奇心霊もの”と分類してしまえば、それまでですが、圧倒的な筆力、そして怖さ。そして、少しの救済感。
私は、この33話からなる本を、怖いから一日に数話しか読めません。だから、実は私、まだ最後まで読めていません。
この2冊を、手にとって、心震わせながら読んで、私はつくづく思うのです。やはり本は“電子もの”でなくて、紙媒体が良いなって。ともかく、両作品とも薦めです(心霊ものがダメな人には「呪詛」は薦めませんが)。あえて言えば「「星守る犬」は犬の物語。「呪詛」はその所々に猫が出てくる物語です。
☆画像は「星を守る犬」と「呪詛」のカバーです。