昨日、ちょっとしたイベントのお手伝いをして、そのあとの小人数で打ち上。池袋の中華屋(私たちの他にだーれも客がいない)で、3時間もホッピー飲み続けたので、午前中は二日酔い。午後もボーッと読書。夕日が部屋に差し込む頃ようやく、動き始めました。
写真は、今日の夕焼け。左下あたりが富士山で、ここがもっと晴れていると、全天夕焼けに染まったはずですが、残念。
午後のボーッとした読書はF・W・クロフツ(1879~1957年)の「フレンチ警部の多忙な休日」。クロフツは、アイルランド生まれで現地で鉄道技師を50歳まで務める一方、40歳の時に「樽」を世に出し、その後に年に1冊のペースで次々ミステリーを世に出し続けます。
「フレンチ警部の多忙な休暇」は1939年の作。クロフツの円熟期の作品です。
古い船を豪華客船に改造し、イギリスの沿岸をクルーズしながら、公海上でカジノを開く「カジノ船」エレニーク号。そして、その乗客の一人が、観光のために上陸したアイルランド北部の街で殺される。犯人は誰だ! 偶然、別の任務をおびて、客を装って乗船していたスコットランドヤードのフレンチ警部が、犯罪捜査に当たります。そして・・・。
この小説の面白さは、このクルーズ船(カジノ船)が、イングランド、スコットランド、アイルランド、ウエールーズ、そしてシェトランド諸島からチャネル諸島まで、「イギリス・アイルランド」をほぼくまなく巡航していくことにもあります。私はこれで読むのは2回目ですが、今回もイギリスの地図で時々場所を確かめながら読み進めました。
クロフツの小説は「樽」にしてもなににしても、陸や海を動き回ります。そしてボーッとしていると、取り残されてしまします。
知られているように、松本清張のミステリーの基にあるのが、このクロフツ。先生格のクロフツの作品の緻密さは清張より優れています。ただ、時として、精密すぎて読むのが面倒くさくなります。面倒くさくなって、読み飛ばすと、「取り残されて」分からなくなります。「樽」はドーバー海峡を行ったり来たりする程度ですが、本書はずっとイギリス沿岸をクルーズしているので本当に居場所が分からなくなります。でも、面白い。最後の犯人のトリックを解くところは・・・。多くの人に読んでほしく思います。
今回のコロナ事態の当初、横浜港のクルーズ船が焦点になっていたとき、この小説を思い出しました。船の「からくり」はまったく同じ。ただ「ダイアモンド○○○セス号」は「コロナ」と「カジノ」以外の問題は起きていないのです(公海上の賭博の扱いは微妙です)。
☆最後の写真はおまけ。西武線の30000系。「君は彼方バージョン」です。30000系は良いです。この車両の登場で西武線のイメージはがらっと変わりました。最新の40000系は、少し偉そうに感じるので、私は30000系が好き。豊島園行き。豊島園がなくなっても豊島園行きの電車は、西武池袋駅から発車され続けています。