こんにちは!ごろびーです。
かなり前の話になるのですが、私は15歳のころジョージア州の公立高校に通っていました。
11月終わり、サンクスギビングデーという感謝祭を祝うためにボストンに住む友人に招待されたので、飛行機で行くことになりました。
サンクスギビング当日は、その友人のルームメイトの家に招待され、美味しいものを食べて、暖炉の前でギターの演奏に合わせてみんなで歌ったりと、とても楽しい時間を過ごしました。
その日は雪が降っていました。
帰りのバスを待っている時、スロープを上って入る暖かい待合室があり、そこでバスを待つことにしました。
入ろうとすると、凍っているため上がることが難しく、誰かが来て手を貸してくれて上がることができました。
少しすると、片手に紙袋(お酒が入っている)を持った、酔っ払ったホームレスが待合室に入ろうとしては、何度もすべって転んで、なかなか入ることができませんでした。
でも、誰もそのホームレスに手を貸すことはありません。
私は高校生で、あまりよくわからなかったので、ただかわいそうだと思い、手を貸すことにしました。
そのホームレスが中に入ると、ずっと大声で独り言を言っていて、正直、怖くなりました。
一緒に行った友達にダメだと注意されたのに…
周りの人たちも迷惑しているようだし…
私はとんでもない人を入れてしまったと後悔しました。
しかも酔っ払って、私のところに来て話しかけてくる。
友人には”無視して”と言われ、ずっと知らんぷりしていました。
バスが来て、不安になりながら同じバスに乗りました。
1時間相変わらず、ずっと後ろで大きい声でひとり言。
外は相変わらずの雪で、クリスマスも来月にせまり、雰囲気はいいけれどとても寒い日でした。
いよいよボストンに着き、少しずつ降りる人が増えてきました。
そして、そのホームレスのおじさんが降りるときに私の隣で止まりました。
その時、バスの運転手さんに向かって大きな声で、
「少し待っててくれ。この子に言いたいことがあるんだ!」
と。
私が知らんぷりしていたから、怒られるかも〜って思いましたが、
優しく小さな声で、言われたことは、
「今日は手を貸してくれてありがとう。とっても嬉しかった。
これから大人になると、いろんな辛いこともあると思う。
だからこの傘を君にプレゼントするよ。
この傘は雨や雪から濡れないように守ってくれるだけじゃない。
何か辛いことがあった時はこの傘が守ってくれるんだ。
これから頑張ってね。」
そして、たくさんありがとうと言ってくれた。
「雪が降ってておじさんが濡れてしまうから傘はもらえないよ」と私がいうと、
「僕は大丈夫。(胸をたたいて)ここに傘を持ってるから」
と言って黒い傘をくれた。
その時のおじさんの目は、本当に酔っ払ってたのかなと思うような優しく、涙が出ているような目に見えました。(おじさん、知らんぷりしてごめんなさい…)
アメリカでは、弱者はおとなしくしていればいじめられたりする。
おじさんが大声をだしていたのも、そうやって自分を守っていたのかもしれない。
人はどうしても見た目で判断してしまいがちです。
アメリカは日本のように治安がよくないので、気をつけないといけないことがたくさんあるので、自分の身を守るためにも見た目で判断することも、ときには必要になります。
この世界にはいろんな人がいて、自分と同じ人なんて一人もいない。
でも何か共通点があったりすれば、つながりができて身近に感じるもの。
大まかに言えば人種、年齢、性別など、それぞれみんな違うけど、どんな人もいろんな環境で、違う経験をしてきて、リスペクトするところばかりです。
雪の降る寒いボストンなのに、大切な傘をもらってしまった。
そして、その時のおじさんの言葉とその傘は、私の心に響いてずっと頭から離れませんでした。
というのも、私はその時、学校でとっていた世界史の時間になると日本が悪く言われるので、いつも差別用語を使って文句を言われたりして、そのクラスが本当にイヤでした。
まだアメリカ生活も半年ほどで、英語でうまく言うことができず、黙っていることしかできない自分に対しても悔しかった。
そんな時に傘をもらったことで、私は心の傘を持つことができました。
今まではどうすることもできないと思って、ただ悔しい思いをしていたけれど、
心の傘は自分で開くことができる!
そう思ってからは、嫌なことに対して一点集中せず、もっと広い世界を見ることができるようになりました。
周りは変えられない時が多いけど、心の傘を持つことは、その後のアメリカ生活を幸せなものにしてくれた大きなきっかけになりました。
心の傘を持っていれば、雨が降っても、雨に惑わされることなく、
傘をさして広い世界、もっと大切なことを見ることができる。
この日、私は一生ものの宝物をもらいました。
心に傘をもっていますか?
雨が降った時には傘を開いて、
広い世界を楽しみましょう!
最後まで読んでいただきありがとうございます。
素敵な1日をお過ごしください