11月となったので、毎年恒例の「スカパー!昔のドラマ・アワード」を発表。

 

選考基準は例年と同じく以下の通り。

 

まずは何と言っても自分の眼鏡に適ったもの。次に、地上波での最後の放送から久しかったり、スカパー!初放送であったり、未ソフト化といった付加価値があるものを優先。あとは、初回放送の時間帯やリピートの回数など視聴環境が優しかった事柄も含んでみた。

それでは発表。

 

○ 連続ドラマ部門

最優秀作品と次点は、なし

 

第3位は、AXNミステリーの『女捜査官』(1982年、朝日放送‐テレパック)

 

【寸評 昨年、一昨年は豊漁だったけど、今年は不漁もいいところだった。TBSチャンネルでは昨年から放送している『俺たちの時代』(1989年)に続き、田原俊彦出演作として『看護婦日記パートI』(1983年)と『さよなら三角またきて四角』(1982年)を蔵出し(CS初&未ソフト化)で放送したのだが、この頃のTBSが作るホームドラマはやっぱり自分の好みじゃないなあと感じ、入選はさせられなかった。

 

○ 単発ドラマ部門

最優秀作品は、東映チャンネルで放送の『盗聴する女』(1986年、日本テレビ‐東映)

 

次点は、日本映画専門チャンネルで放送の「パ★テ★オ」シリーズ(1992年、フジテレビ)

 

第3位は、なし

 

【寸評】 こちらも不漁。ゆえに今年は大不漁であった。そんななかで光ったのは『盗聴する女』。浅野ゆう子演じる、恋の出逢いも仕事も上手くいかないばかりに、そんな晴れない心を夜な夜な解消する悪癖として隣家に盗聴する女を、盗撮していた男が説教するという不条理な展開で、その破綻した内容が面白かった。当時の資料によると、主人公像とか内容があまりにネガティヴなため、幾人もの女優に断られた末に、トレンディドラマでブレイクする前に落ち目だった時代の彼女に廻ってきたとのこと。それから、主人公の仕事はエアロビクスのインストラクターで、彼女はプライベートでそれに精を出していたこともあって吹き替えなしのその実演シーンはお手の物だったし、まさに打ってつけの役柄であった。12月に放送予定の「パテオ」三部作は、当時フジテレビが当てたジェットコースタードラマ『もう誰も愛さない』のノリで、もちろんそのスタッフが手掛けたもの。PART1とPART2は2時間枠のテレビドラマで、すべての謎が明かされる完結編が劇場用映画として公開された。ビデオテープによるソフトでは出されてはいたが、流行りで作ったものだけに、いまの時代ではDVDなどの円盤化はなされておらず、すっかり忘れ去られていたものである。自分も当時以来観ることになるが、はてさて…。

 

○ カムバック部門

スカパー!で過去すでに放送されたことがあるなどして蔵出し作品ではないものの、もう一度観てみたかった作品を上記の連続ドラマ、単発ドラマなど部門を問わずに選んでみた。

 

最優秀作品は、ホームドラマチャンネルで放送の『ラジオびんびん物語』(1987年、フジテレビ-東宝)

 

次点は、AXNミステリーで放送の『科学捜査官』(1973-1974年、関西テレビ-松竹)

 

第3位は、日テレプラスで放送の『陽あたり良好!』(1982年、日本テレビ-東宝)&『セーラー服反逆同盟』(1986-1987年、日本テレビ-ユニオン映画)

 

【寸評】 蔵出しの作品が少なかった一方で、スカパー!でも十何年ぶりに放送するというレアな作品が多くて、この部門が充実していたのは今年の救いとなった。選外となってしまったが、東映チャンネルの『スーパーガール』、日本映画専門チャンネルの「傑作推理劇場」松竹制作分なども評価したい。それから、『セーラー服反逆同盟』は昨年にホームドラマチャンネルで放送してはいるものの、HD化させたのと引き換えに画角がオリジナルではない16:9にされてしまったことから、せっかく久々の放送だったのに不評の嵐であったところ、今回の日テレプラスではオリジナル通りに4:3の画角に戻しての放送だったことを評価した。

 

【総評】 最優秀チャンネルは該当なし。『高層の死角』、『閃光の遺産』など珍しいものもやってくれたAXNミステリーはイイ線行っていたのだが、いま一歩というところだった。とにかく、“かねがね観たかったもの!”という作品が今年はひとつもなかったのは残念至極。ただし、望みは芽生えている。日テレプラスは“あぶ刑事”以外の古いドラマを再び放送するようになり、一時停滞していたTBSチャンネルはドラマ以外ではあるが、歌謡番組『ザ・ベストテン』のレギュラー放送化、そして12月からはオンデマンドのみであった『8時だョ!全員集合』がようやくスカパー!にも卸してくることで来年以降のさらなる充実した編成を期待させてくれる。