ナタリー ユーミンの転機を松本まりかでドラマ化、松任谷正隆役に菊池風磨

https://natalie.mu/music/news/371800

 

ドラマに影響されたわけじゃないけど、ここ最近自分の中ではユーミンが流行り。今回は、それを紹介していこう。

 

・カンナ8号線
・DESTINY

 

ユーミンを知ったのは物心ついて間もなく。なんでそんなに早く…?と言えば、実は親戚が「松任谷」に近い苗字だったので。でまあ、初めて音楽そのものに触れたのは『ザ・ベストテン』にもランキングされて大ヒット曲となった1981年の「守ってあげたい」。翌年、自分は9歳の誕生日プレゼントにラジカセを買ってもらい、それからしばらくして買った最初の市販ソフトが「守ってあげたい」が入っていることを売りとしたベスト・アルバム『松任谷由実/守ってあげたい テープでしか聴けないベスト・アルバム決定版!』であった。当時、メイン・ソースであるLPのほうではベスト・アルバムは作られなかったが、カセットのほうではいろいろ作られていたのだ。最初の二曲は思い出深いそのカセット版のベスト・アルバムに入っていたものから。

 

ヤフオクに出品されているものから画像を拝借

 

・VOYAGER〜日付けのない墓標

 

1984年3月に劇場公開されたSF映画『さよならジュピター』の主題歌。原作者であり、映画作品の製作総指揮でもあった小松左京は提携先の東芝EMIからタイアップで付けられたユーミンのこの曲にはさほど興味はなくて、杉田二郎が自作自演で手掛けた劇中歌「さよならジュピター」のほうがお気に入りだったとか。なにせ、Blu-rayとDVDで出た『さよならジュピター』デラックス版に入っているメイキングソフトには、小松と杉田のふたりが合宿して酒を飲みながらベロベロになって一緒にこの曲を作っているホームビデオの映像が入っていたりする。おっと、なんだっけ、ユーミンの話しているのに、また横道に逸れてしまった。


・DOWNTOWN BOY

 

1984年のアルバム『NO SIDE』から。タイトル曲にもなっている、ラグビーにちなんだアノ名曲が入っていたりするんだけど、自分的にはこの曲。翌1985年6月に開かれた一大音楽イベント「ALL TOGETHER NOW」に、ユーミンは旧知であるサディスティック・ミカ・バンドのメンバーであった面々をバックに、その名もサディスティック・ユーミン・バンド(松任谷由実、加藤和彦、高橋幸宏、高中正義、後藤次利、坂本龍一)として登場し、各自の持ち曲を演奏した際にユーミンが披露したのがこの曲で、ずっと後年になって音源を聴いたのだが、じつに格好良かった。

 

サディスティック・ユーミン・バンド「DOWNTOWN BOY」

https://www.youtube.com/watch?v=gAgXGyRYt_8

 

・メトロポリスの片隅で
・もう愛は始まらない

 

1985年のアルバム『DA・DI・DA』から先行してシングルで発表された曲とアルバムオープニングを飾る一曲目のふたつを。「メトロポリスの片隅で」はシングル盤発表時は資生堂のCMソング。

 

資生堂CM - フィアネス コスモアイカラー - 1985

https://youtu.be/eBsXc42NVXc

CMのエンディングで言い放たれる「水金地火木 土天冥海」と太陽系の惑星を略称で並べた言葉が流行った

 

そして、シングル&アルバム発表から三年後の1988年8月、今度はTBSのトレンディドラマで今井美樹主演『意外とシングルガール』の主題歌にも起用される。

 

TBSチャンネル公式 『意外とシングルガール』番組紹介

https://www.tbs.co.jp/tbs-ch/item/d0243/

 

当時、レトロ感覚に使われた洋楽のオールディーズ以外、タイアップは「書き下ろしの新曲で…」というのが当たり前だったなか、既発表曲で、すでに一回他のタイアップに使われたことがある曲が再度使われたのが逆に新鮮であった。トレンディ・ドラマ好きのワタクシメとしてはこのドラマについていろいろ書きたいことがあるのだけど、それだと今回記事をめいっぱい覆ってしまうので、かいつまんで紹介すれば、"シングルガール"とドラマのタイトルが歌詞に出てくる主題歌だけではなく、劇伴もユーミンの曲で誂えたものとなっていて、ドラマもそれに沿ってユーミンが描く「都会的で、自立しているイイ女」が闊歩する展開となっている。


・土曜日は大キライ
・SATURDAY NIGHT ZOMBIES
・恋はNo-return

 

これら三曲はフジテレビのバラエティ番組『オレたちひょうきん族』後期のエンディングテーマ曲。1985年秋から使われていた山下達郎「土曜日の恋人」の後を受け、1986年秋から一年ごとにユーミンは三つの曲を毎年書き下ろしで提供していた。1980年代前半、他のアーティストと同様にテレビ出演には積極的ではなかったユーミンも1980年代後半に入ると露出が増えていく。しかし、ベタに『夜のヒットスタジオデラックス』なんかの歌番組ではなく、楽曲を提供していた『オレたちひょうきん族』やそのスタッフらが作る関連番組など高感度なカルチャーを伺えるほうへ出ることによって、その価値を高めていった。

 

SATURDAY NIGHT ZOMBIES 松任谷由実 ひょうきん族スペシャル

https://www.youtube.com/watch?v=TvilQ0txzQs

 

そして、当時のユーミンといえば…、ここで先頃までフジテレビTWOで放送されていた1988年の「月9」枠ドラマ『君が嘘をついた』を持ってきたい。

 

フジテレビONETWOTHREE公式 『君が嘘をついた』番組紹介

https://otn.fujitv.co.jp/b_hp/911200077.html

 

当ブログ記事 月「9」全盛時の「愛しあってるかい!」と「君が嘘をついた」

https://ameblo.jp/goro-chayamachi/entry-12578960755.html

 

自分が一番大好きなシーンで、第4話(1988年11月14日放送)にある、まだお互いのウソがバレてない段階での主演・三上博史とヒロイン・麻生祐未がクルマでデートする場面、麻生に熱を上げている三上が「月9」枠の番組スポンサー・トヨタから出ていたカムリを買ってきて待ち合わせ場所に乗り付け、麻生も驚くというシチュエーションがある。このシーンに掛かるBGMが当時の最新曲「恋はNo-Return」なのだ。ドラマのスタッフは曲の詞世界とドラマの世界がリンク(ついた嘘で始まった恋がもう後戻り出来ない状況)しているから採用したのだろうが、当時ユーミンの楽曲は三菱ミラージュのCM曲として、1987年秋のフルモデルチェンジ以来ずっと採用されていて、クルマに関してはユーミン=ミラージュというイメージがバッチリと付いていた。

 

トヨタとしてはニンマリ、三菱はさぞ〝オカンムリ〟のことだったろう(笑)。

 

「月9」枠でユーミンの曲が主題歌として採用されるのはずっと後の1994年になってから。やっぱり、トヨタがスポンサーの番組に、三菱車のイメージが付いている人の曲は別のであっても採用されなかったのは、そういう理由かもと。

 

・Varentine's RADIO

 

バブル景気真っ盛りであった頃、ユーミンの最新アルバムを「聴く」というよりも「買う」行為自体が流行だったことがあった。それが極まった1989年秋、テレビのCM、ラジオのゲスト、雑誌のインタビュー記事、繁華街の広告、どこにでもユーミンがいるという、前人未到の200万枚を売るために途轍もない宣伝量であったアルバム『LOVE WARS』の一曲目に収録。その当時はあんまり響かなかったのだが、二年後にホイチョイ・プロダクションがフジテレビと作った映画『波の数だけ抱きしめて』の劇中歌に採用され、そのCM曲でも掛かっていて好きになった曲。