後藤久美子主演の『同級生は13歳』(1987年8月-10月)が今月4月からチャンネルNECOにてCS初放映。

2月から同じフジテレビ-共同テレビの製作による宮沢りえ主演の『いつか誰かと朝帰りッ』(1990年10月-12月)をやはりCS初放送でやっていただけに、ここらへんの作品が“初物”で出てくるのではなかろうかとは予測はしていた。

当時の後藤久美子はまさに絶頂期。前年に自らが巻き起こした美少女ブームに乗じて、1987年の年明けからはNHK大河ドラマ『独眼竜政宗』で政宗の妻となる愛姫の少女時代の役、春からはTBSで中山美穂主演ドラマ『ママはアイドル』に出演して話題をさらう。そして8月から放送の本作『同級生は13歳』で連続ドラマにおける初主演を飾った。

放送は8月20日からと、編成的にはいささか中途半端な時期ではあったが、制作したフジテレビは夏休みのキャンペーンに後藤久美子をイメージキャラクターに起用していた。それで充分に時間かけて前評判を煽るなどして抜かりはなく見事にヒットドラマとなった。

ただ、当時“三年先のスケジュールまで埋まっている”と喧伝されたゴクミの絶頂期だけに、撮影がタイトだったようで、一日で4話分の出演シーンをまとめ撮りしたり、ゴクミの相手役となる男闘呼組の前田耕陽もこれまた人気者で、本作の2日前にTBSでスタートした浅野温子主演の『ぼくの姉キはパイロット!』に掛け持ちして出ていたりして、粗雑さは想像に難くない。

一方でゴクミは本作の放映中に、翌年3月に東映で公開の初出演にして初主演映画『ラブストーリーを君に』の撮影に挑む。こちらは結構スケジュールを割いて丁寧に撮影されていたみたいだが、邦画不遇の80年代、さらに「不治の白血病に犯された美少女が、一生の願いに恋をした家庭教師と二人だけで登山に挑み、そこで最期を迎える」というリリカルかつシリアスな内容はウケなかったようで、失敗に終わる。結局、これが仇となって、さらにはゴクミは高校受験のために一時休業もしたこともあって、1988年からは“美少女”の代名詞は、同じ年齢の宮沢りえに譲ってしまうことになる。

さて、ストーリーは、父親とアラブに駐留していたゴクミが7年ぶりに日本に帰国してきたところから始まる。そして父親が勤める私立学校に、13歳のゴクミは成績優秀を認められ高校二年に編入されてしまって校内は大騒ぎ。さらには、学校にはゴクミ父子と離縁していた母親の中井貴恵が教師にいて、いまは同僚の真田広之と恋人の関係なのだが、ゴクミとその父親が現れたことで・・・。

ゴクミのキャラクターありきで、あまりにも現実離れした物語の設定がいかにも当時のドラマなんだけど、真田広之が教師役で出ているのに注目。真田の高校教師役と言えば、やはり1993年の名作『高校教師』。大学の理系研究室あがりの臨時採用教師だけに運動音痴という設定で、バスケ部の顧問となるも生徒の部員たちにそれをバカにされる始末だったが、本作の真田はまだ演技派に転向前だけに、筋肉脳の体育教師役を演じていて、だいたい名前からして猪苗代健康というアホな名前。しかし、さすがJACのトップスターらしいアクションを“無駄”に魅せてくれる。

ともあれ、「これぞ!80年代」というノリを楽しめるドラマであることは間違いなし。