今回もまた『新幹線公安官』ネタである。
今月12月10日、どちらも作曲家・渡辺岳夫の音楽による『新幹線公安官』と時代劇『騎馬奉行』をカップリングさせた『新幹線公安官 / 騎馬奉行 オリジナル・サウンドトラック』が発売された。
どちらの作品ともサントラ音源は初の商品化であるので、ファンならばその価値は高い。幼少の頃より『新幹線公安官』に思い入れがある自分も早速購入してみた次第。
いまから30年以上前の1990年代前半、メジャーなものからマイナーなタイトルのものまで往年のテレビドラマのサントラを復刻するブームがあったことを思い出す。VAPのMUSIC FILEシリーズが火を付けて、他社も追随したものである。1990年代前半といえば、同期して『太陽にほえろ!』をはじめとして往年のテレビドラマも続々とソフト化され始めた時で、MUSIC FILEシリーズと相乗効果をもたらした。
前回の記事で触れたように、YouTubeの東映シアターオンラインにて『新幹線公安官』が週一回の更新で配信中。この『新幹線公安官 / 騎馬奉行 オリジナル・サウンドトラック』と好い相乗効果が生まれることだろう。
12月17日更新の第9話は新克利がゲスト主演
1977年10月11日放送だから撮影はその一か月くらい前かな
で、この頃の新克利といえば同年12月に劇場公開の東宝特撮映画『惑星大戦争』に出演
その撮影直前だったから、まんまあの怪演をしたときのボサボサ角刈りを拝めるのだ
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さて、サントラ盤なるものは二つに分類されるかと思う。
ひとつは当初からリスリング用にも販売されるもの。もうひとつは本作『新幹線公安官/ 騎馬奉行 オリジナル・サウンドトラック』のように劇伴として実用した音源の素材を後から販売用に仕立て直したもの。だから、当時のテレビ用スピーカーに合わせたのか、音域はハイ・ミドル・ローのうちでハイが強めである。正直申せばリスニング用途で聴くと耳が疲れる…。
一方で、たとえば、『新幹線公安官』本放送時前年の1976年に放送された『火曜日のあいつ』のオリジナル・サウンドトラック『ブルファイト』は当初から販売用で出たものなので、その点は聴きやすいつくりとなっているし、収録曲やその構成もバラエティ溢れるものともなっている。
1976年4月、「火曜日のあいつ」と、その時代 | 茶屋町吾郎の趣味シュミtapestry
2009年にそのサントラを担当したバンド、ザ・ラストショウのオリジナルアルバムが二作品復刻された際、双方に振り分けられるかたちでボーナストラックとして初CD化がなされたものだが、その収録アルバムは早々に廃盤となってプレミア価格が付いてしまっている。しかし、音楽配信サイトではボーナストラックとしてではなく、独立した一枚のアルバムとして販売中である。以前は音質が低レベルなAAC-FC / 320kbpsしかなかったのだが、近年ではCDと同じ音質のロスレスで、FLAC 44.1khz / 16bitのものが追加されていて、どちらも2,000円以下で入手出来るからオススメしておきたい。
ちなみに、『火曜日のあいつ』のオリジナル・サウンドトラック『ブルファイト』は二種類あって、この配信もされている日本コロムビア盤のアルバム&そこからシングルカットされたもの(および主演の小野寺昭が歌唱するED主題歌「燃えてるあいつ」)と制作プロである東宝テレビ部の関連会社・東宝レコードから二曲入りのシングルのみ発売されたものが存在する。
そちらは、2004年発売のオムニバス盤『あけろ!ケイサツだッ!!-アクションドラマ MUSIC FILE-』にA/B面とも収録されている。A面「ブルファイト」は日本コロムビア盤とは別バージョンで、B面「燃えてるあいつ」はインストゥルメンタル・バージョンで被らないのがGood!、残念ながら配信はされていなく、既に廃盤ともなっているが、オークションやフリマサイトで頻繁に出品されているから入手しやすい。
【だん吉・なお美のおまけコーナー】
今回の記事でネタとしている『新幹線公安官 / 騎馬奉行 オリジナル・サウンドトラック』の『騎馬奉行』について触れてみたい。
フジテレビ系にて1979年10月2日~1980年3月25日まで放送されていたアクション時代劇。放送されていたのが火曜10時枠だから制作局は準キー局の関西テレビで、制作プロは東映なのだけれども、時代劇だからといって京都の太秦にある東映京都撮影所の東映京都・テレビプロダクションではないのが特筆すべき点。じつはなんと!東京の大泉にある東映東京撮影所の東映テレビ・プロダクションが手掛けているのだ。
現在、東映東京撮影所に隣接するプラッツ大泉というショッピングモールは、かつて東映東京撮影所のオープンセットがあったところで、(その当時における)現代の街並みとともに江戸時代の街並みもあったのだけど、1970年代後半に入ると老朽化および使用頻度が低くなったことから取り壊して閉鎖されることが決定し、1980年3月に跡地利用の再開発計画がまとまり、三年後の1983年にプラッツ大泉がオープンした経緯がある。1980年3月放送終了の『騎馬奉行』はそのオープンセットを使った最後の時代劇番組となった。東映時代劇YouTubeでは第1話・第2話が据置配信されていて容易に観ることが出来、エンディングのスタッフ・クレジットを観ると、東映京都撮影所で撮られた作品のそれでは見受けられないスタッフ名や会社名が並んでいるが判る。
それから、本作が放送中の1980年1月1日は火曜日で、現代のテレビ番組事情では考えられないことだが、その日も通常放送されている。ただし、サブタイトルからして「初春大当たり千両くじ」と正月ネタで、『男はつらいよ!』みたくコント仕立ての初夢場面があったり、賑やかしのゲストで漫才ブーム突入直前のツービートが出演しているなど、前時間帯の7時から10時までやっていたフジテレビ系元日恒例『新春スターかくし芸大会』のお屠蘇気分を受け継いだものともなった。
ただ、そのツービートの出演場面は漫才調ながらも“らしさ”が足りなく、ビートたけし特有の毒舌の効いたボケやアドリブが奮ってない。漫才ブームの旗手となり、以降もバラエティは言うに及ばず、ドラマにおいてもテレビの人気者として跋扈するビートたけしにとって、撮影時点では最も場違いな仕事だったことから、ただただスタッフの指示なり、台本に従っただけのようなものであった。
東映オンデマンドでは『新幹線公安官』とともに『騎馬奉行』も全話配信



















