ヨシタケシンスケさんの新作絵本「かみはこんなにくちゃくちゃだけど」を読みました。
二つの文章が、「だけど」という言葉でつなげられています。
これが不思議なんです。
前後の文章を入れ替えると、印象ががらりと変わるのです。
たとえば
「10個も食べたら食べ過ぎだけど、このお団子、おいしいんだよね。」
と
「このお団子、おいしいんだよね。10個も食べたら食べ過ぎだけど。」
この二つの文章は同じことを言っているのですが、ニュアンスが違います。
最初の文章は罪悪感を感じ、言い訳のように受け取れます。
二つ目の文章は、てへぺろみたいなユーモラスな印象を受けます。
これは?
「仕事でミスして上司に叱られたけど、庭のチューリップがきれいに咲いたの。」
と
「庭のチューリップがきれいに咲いたの。仕事でミスして上司に叱られたけど。」
事実は同じでも、二つ目の文章のほうが気持ちがラクになるような気がします。
最初の文章は、「叱られた」>「チューリップが咲いた」。
二つ目は、「叱られた」<「チューリップが咲いた」。
つまり、前半の内容のほうが、強く印象づけられるのです。
ということは、考え方をこんなふうに変えたらラクになれそう。
苦しいこと、悲しいこと、イヤなことなどネガティブなことを、少し軽く受け止められるようになるかもしれません。
日常生活のささいな幸せを丁寧に拾い上げ、ネガティブなことの前に置いてみる。
そうしてみたらどうかしら?
そんなことに気づかせてくれる絵本です。
最初から読み終えたら、最後から逆に読んでみてほしい。
印象ががらりと変わります。
道ばたで仲良く咲いている花を見つけたよ。たくさん歩いて疲れたけど。
たくさん歩いて疲れたけれど、道ばたで仲良く咲いている花を見つけたよ。
ヨシタケシンスケさんの展覧会が開催中です。
行ってみたいなあ。
行かれるかしら? 気力が足りないんだけど。