障害者パワーのボランティアをしていて気付いた事がある。
それは、自分は障害者なんだから色々な事をやってもらえるのが当たり前、という考えの人が沢山いるという事。
もちろん全員ではないが、国際試合に行くようになってあらためて感じるようになった。
ある日障害者の選手本人から、「車椅子に乗ってるがこんなのハンデだとは思っていない」と聞いた事がある。
素晴らしく前向きな考え方だなとその時は感心した。
しかし、あれをやってくれ、こうしてくれ、車椅子だと大変なんだから買い物位行ってきてよ、その為にここに来てるんだろ?と度々言われるようになり、段々納得が出来なくなってきた。
いくら見返りを求めないボランティアとはいえ、人として最低限の感謝の気持ちくらい欲しいもんだ。
ボランティアを始めて最初の新年を迎える時、役員や選手にこちらから年賀状を出した。
しかし返事が来たのはパワーハウスのオーナー夫妻だけ。
本来ならお世話になっている立場の人間のほうから出すべきのところ、こちらから送っているにも関わらず誰一人返事すら無かった。
そんな事で腹を立てたりはしないが、そういう人間はこちらも今後そのようにしか扱わない。
年賀状以前に、残念ながらしっかりと挨拶が出来る人間がほとんどいない。
私は挨拶が出来ないような人間は基本的に信用しない。
活動を始めて間もない時、ある選手が私に向かって、「選手達はまだみんな○○さんの事をよく知らないから挨拶してもらったり信用してもらえるようになる為にはとにかく言われた事を黙々と頑張る事だね、そうすればそのうちみんな認めてくれるようになるよ」
と言ってきた。
はあ?いったい何を勘違いしているんだろうか?と呆れるしかなかった。
お前らの為にやっているというのに挨拶してもらう?信用してもらえるようにだって?まずお前らのありがとうが先だろう?
そんな事を平気で言う人間などこちらが信用しないというもんだ。
またある時私に向かって、「○○さんてベンチプレスの実績が無いみたいだから他の人より頑張らないとね」と言ってきた。
その時はさすがに頭が一瞬真っ白になりかけた。
文句があるなら自分でやれ!ボランティアに大切なのは実績か?一生懸命にやる気持ちより実績が大切なのか?ではそのような人間にやってもらえばいい。
障害者だから何でも許されると思っていたら大間違い、ベンチプレスが強いからなんだと言いたい。
私が障害者パワーの選手の強さの秘密を知らないとでも思っているんだろうか?
障害者パワーの選手を指導するにあたり、私は健常者との違いを理解する為にありとあらゆる文献を読みあさり、下肢障害の人達の平均寿命、事故などで障害を負ってからの平均余命、かかりやすい病気、予防法など、徹底的に研究してきた。
国際試合に同行した時には何度かドーピング検査にも立ち会っている。
それを訳もわからずベンチプレスが強いからと偉そうな事を言う前に、人間としてのスキルをもっと身につけろと言いたい。
世の中てめえだけが知ってて他人が知らないなんて事はほとんど無いんだから。
自分は障害者なんだから!と何でもかんでも許されると思ったら大間違いだ。
だったらまず助けてくれる周囲の人間に感謝するべきだろう?じゃないと私に限らず、いつまでも笑顔で協力してくれる人などいつかいなくなる。
他に居場所も無く、毎日毎日障害者相手に好き勝手なゴタクばかり並べている暇な年寄りを除いては。