今から20年以上前に、私が通っていたトレーニングジムに凄い少年がお父さんに連れられてやってきた。
その少年の名はヤス、まだ18歳位のとても大柄な奴だ。
身長は175cm程だが、体重はどう見ても軽く100kgは超えている。
ジムのオーナーがお父さんから話を聞いたところによると、先天性の病気らしきもので社会生活がまともに出来ず、スポーツもやった事が無いという。
野球やサッカーなどはとても出来ないし、健康の為にお父さんが、「こいつ力だけはありますからよろしくお願いします」と言って連れてきたのだそうだ。
その時私はジムにいなかったのだが、ヤスの噂はあっという間にジム中に広がった。
何故なら産まれて初めて触ったバーベルだというのに、ベンチプレスでいきなり130kgを挙げたからだ。(;゜0゜)
これにはジムのメンバーも皆ぶったまげた!
やった事が無いので、挙げ方の基本もへったくれもなく、ただ単に力任せに挙げただけらしいが、そんな人間この世にいるんかよ!?という位の化け物だ。
こいつはとんでもないパワー界の金の卵だ!とばかりにジム中のメンバーみんなでヤスを指導する事になった。
お父さんも「こいつは力だけしか取り柄が無いからなんとかパワーリフティングで生き甲斐を与えてやりたいです」という意向だったので、毎日のようにヤスを車(軽トラ)に乗せてジムにやってくるようになった。
ヤスがジムに来てすぐに挙げたのはベンチプレス130kgだけではない、下半身も怪物並みに強く、スクワット180kg、デッドリフト200kgを軽く挙げ、ジムのメンバーは皆呆れるしかなかった。
しかしこんなのはまだまだ序の口、ヤスの伝説はまだ始まったばかりだった。
(色んな意味で)
続く。