さて、トレーニングをしている人たちの中には「俺は腕を太くしたいんだから脚のトレーニングは必要ないよ!」などという人がいる。
もちろんそれはカラスの勝手なのだが、同じように腕やその他の部位をトレーニングする場合、脚のトレーニングをしっかりやる人とそうでない人には必ず差が出てくる。
これは実は成長ホルモンによる影響が大きい。
トレーニングをしている人であれば必ず経験しているだろうが、激しい筋力トレーニングをしてしばらくすると身体がだるくなったり全身が疲労感に襲われ、強烈に眠くなったりする。
これは筋力トレーニングによって身体の中に老廃物が増えると、脳がそれに対処しようと回復の為に成長ホルモンを分泌するからだ。
もちろんトレーニングの強度や量にもよるが、腕や肩のように比較的小さな筋肉をトレーニングしても疲労度は少なく、成長ホルモンが分泌する量も少ない。
スクワットをやった時とショルダープレスをやった時とでは、呼吸の乱れ方もその後の疲労感も当然違うはずだ。
人体の約半分を占める脚を中心とした下半身のトレーニングをする事により、大量の成長ホルモンが分泌され、それによって脚以外の部位も影響を受け発達が促されるという訳だ。
それ以外にも脚のトレーニングをしっかりと行う事によって大量の糖分やエネルギーを消費でき、また強大な脚の筋肉中にそれらを蓄える事ができる為、糖尿病やその他成人病の予防にもなる。
また最大血圧で心臓から送り出された血液を、脚の大きい筋肉や動脈が血液の循環を助ける働きをするので、心臓の負担も少なくなる。
お年寄りがつまずいて転び易くなるのも脚の筋力、特に脚のインナーマッスルである腸腰筋の低下による脚の振り上げ動作が困難になる事からくる場合が多い。
このように我々人間は、気付かないが脚に随分とお世話になっているのだ。
アスリートに限らず、末長く健康でいる為にも好きな部位だけトレーニングするのではなく、普段から世話になっている脚をしっかりとケアするべきではないだろうか?
失ってからでは遅いのだ。