お帰り寅さん | GORE GORE GIRLS

GORE GORE GIRLS

西山雅之の演劇ユニット「GORE GORE GIRLS(
ゴアゴアガールズ)」。
皆様に笑いと感動と川柳をお届けにあがりました。

楽しみにしてた『男はつらいよ50 お帰り寅さん』を観てきた。50というのは50作目。新作。前に新作がひどくても別にいいって言ってたけど、泣いた。男はつらいよファンしか刺さない内容かもしれないけど。実際誰よりも楽しんだ気がする。

 

 

オープニングの歌を歌うのは渥美清じゃなく桑田佳祐。音楽寅さん。もちろんそこはグッとこない。桑田佳祐は好きだけども。ロールに流れるキャスト。「リリー 浅丘ルリ子」で拍手しそうになった。今思えば拍手してもよかったのかもしれない。

 

つぎはぎの総集編的な内容かと思ったら全然違った。おいの満男の人生を軸に皆がそれぞれの生活の続きを送ってる。そして彼らは寅さんを思い出す。

 

いや泣ける。もうキャストもかなり鬼籍に入ってるから残りのメンツでって感じだけど、吉岡秀隆も倍賞千恵子も前田吟もみんな素晴らしい役者だから十分みせる。そこにさりげなくでてくるいつものメンバー。そして回想シーン。最高。

 

もう年末に48本逆から観たばっかり(相変わらず、バカか?)だから、回想シーンのセリフをほとんど言えた。さくらの若いころの可愛さが尋常じゃない。

 

 

今は役でもおばあちゃん。みんな平等に歳をとり、やがて死ぬ。すごい説得力。同窓会的なノリでーすって感じでは全然なかった。そこがよかった。

 

寅さんといえばもうお決まりのパターン。様式美といってもいい「中年の露天商が恋をしてふられる」だけの映画。それが今回は別の構成で。でも終わってみればやっぱり寅さんという。それをつきつけられた感じがした。正直設定的には突っ込みどころが多すぎる気もするけど山田洋次にしっかり振り回された。

 

いったい今自分は誰に向けて何を書いてるのか。もうそんなこと別にどうでもいい。突っ込みたい。

 

 

 

代表的なマドンナ・浅丘ルリ子のリリー。正直見てられなかった。あのキレのない演技。実際現場ではもっと厳しかっただろうことが予想できるあの照明の暗さよ。いくらなんでもあれはないだろう。リリーが回想する若いころのリリー。今のリリー。それだけで泣けた。時の流れをそのまま見せてるだけなのに。

 

 

そして後藤久美子。シリーズ後半ではゴクミと吉岡秀隆をみせる映画になってたけどとにかく当時は芝居がひどかった。そして今は、、、まったくかわらずひどかった。外国に長く住んでる設定だったから日本語が、、、みたいなリアリティとしてならセーフなんだろうか。でもいい。それで。ラストシーンは男はつらいよらしからぬ最高のシーンだったと思う。

 

 

ただビジュアルがバクチクのボーカル桜井敦司にそっくりすぎて怖かった。

 

怖いといえば主人公・吉岡秀隆のときおりみせる目の芝居が謎だった。ギョロっとしすぎてる。あれはなんだろう。狂人にみえて怖かった。そして現在は小説家になってるというその設定。それはない。

 

そして前田吟はたまに今でもドラマでみるけど、スクリーンで見るとマフィアだった。あれは絶対今ヤクザものやるべき。体形が怖い。一瞬マラドーナかな?と思った。でもしっかり歳をとったひろし、最高だったな。

 

劇場はガラガラだったけどみんな笑ってた。けど自分は笑えなかった。今すごいもんみてるなって思ってた。若い連中と寅さんの話なんかできない。観てない。どころか同級生でさえ誰もみてない。自分はなんでこんなに寅さんにひきつけられるんだろう。

 

とまらない。でも自分も、そして自分の知ってるすべての人もやがていなくなるんだ。