地元に育った私は幼い頃、

100円玉を母親に握らされて、雑踏の中を一人で露店を見に行った

母親に手を引かれる…なんて、考えたこともなかった

狭い家に集まる親戚たち

贅沢にも目の前にあがる花火などに目もくれず、ただ酒を飲んで騒ぐだけ

行き交う人々の間から、チラチラと見える花火、体を貫くような音

何も買わず、ただ人の間をぬって駆け抜けた

花火が終わるまで家に帰れない

帰りたくない

防波堤に腰掛けて、波に写り消える火花を見ていた


社会に出てすぐに家を出て、そこからは付き合い始めた人と行くようになる

今の夫であるが、モテた人だからあちこちで声をかけられ、その度に自分は空気になった


花火はきれい

だけれど、一人ぼっちの幼い頃の私が立ちすくんでいるように思える

俺達と思い出を書き換えようよと言ってくれる息子たち


今日は若い頃の夫と私のように浴衣を着て花火を見る長男夫婦を送迎している

彼らには、ただ良い思い出だろう


長男は、私から見ても奥さんを大切にしている

お嫁さんも、長男を信頼していると感じさせてくれる

良かったなぁ

お嫁さんが可愛い人で良かったなぁ


まだ、幼い頃の自分を抱きしめる勇気は無いのが苦しい