フラガール | 映画にドラマに気ままにドレミ!

フラガール

プロデューサー:石原仁美

監督:李相日

脚本:羽原大介

音楽:ジェイク・シマブクロ

企画・制作:李鳳宇

提供:シネカノン、ハピネット、スターダストピクチャーズ

主演:松雪泰子

助演:蒼井優

出演:池津祥子、岸部一徳、高橋克実、寺島進、徳永えり、富司純子、豊川悦司、山崎静代(五十音順)


フラガールメモリアルBOX フラガールスタンダード

メモリアルBOX(左)とスタンダードエディション(右)


現在の福島県いわき市にある常磐ハワイアンセンターにまつわる実話を描き、第30回日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞作に選ばれた映画。

全体を通して言えるのは、脚本がちゃんと練られているということ。ほとんどの村人が炭鉱に従事する中、新たに常磐ハワイアンセンターをつくろうとすれば、それぞれ思惑も異なるけど、みんなの色んな思いをうまく描けていたと思う。

まず、物語の基盤となる平山まどか(松雪泰子)が嫌々常磐に来た理由も谷川紀美子(蒼井優)や木村早苗(徳永えり)がダンスに熱中する理由も丁寧に描かれていたので、物語に入り込みやすかった。ダンスに熱中したせいで母親の谷川千代(富司純子)と喧嘩し、紀美子は実家を追い出されてしまったけど、谷川洋二朗(豊川悦司)のお陰で単に悲しい場面にはなっていなかったのはよかった。

ようやく雑誌に紹介されるなどしてフラガールも形になりかけてきた時に、早苗が父親の木村清二(高橋克実)に殴られる場面は衝撃だったけど、炭鉱をクビにする会社に対して猛烈に抗議した村人を描いていただけに、炭鉱で30年も働いたのにあっさりクビにされた清二ばかりを責めることはできなかった。でも、まどかだけは清二に怒りを禁じえず、お風呂の中にまで殴り込んで行ったのは、教え子へ特別な思いが伝わって来て良かった。その場面があったおかげで、すぐに早苗は夕張市に引っ越すわけだけど、別れ際の場面が映えたし、フラガールたちが団結する流れができた。もちろん、紀美子とのやりとりも、別れ際の「じゃぁね」をより引き立たせていて良かったと思う。

続く熊野小百合(山崎静代)がダンスを始めるきっかけをつくってくれた父親の熊野五郎(志賀勝)の事故死を伝えられた場面では、まどかが帰ろうと言っても小百合が踊りたいと言うことで、いつの間にかプロ意識を越えるほど教え子たちが本気でダンスに取り組んでいる姿が伝わったと思う。実家に帰ると、まどかが村人に責められる展開になり、村を出て行こうとするまどかを教え子たちが追いかけて、手話で感謝の気持ちを表す場面は感動だった。

そして、早苗からの郵便を純子が紀美子に届ける場面では、紀美子たちがダンスに熱中する原因となったまどかの踊りを、紀美子が純子に見せつけることで純子の気持ちを動かしたので、思わず笑みがこぼれた人も数多いのではなだろうか。これで、純子が紀美子の生き方を受け入れ、常磐ハワイアンセンターに協力的になり、ついにはオープン初日の舞台に純子がこっそり顔を出して、家族の仲違いも一応は決着がついた。舞台では紀美子が一人で例の踊りを再び披露し、フラガールが勢揃いして踊った後、頭に早苗の送ってくれた花をつけていたのは、最後の場面としてうまく締まったと思う。

また見たいと思う映画だった。

視聴日 2007/6/8/Thu


演出:李相日