「・・・・デイブ!」

半年ぶりにあうデイブは、読んでいた本を閉じ私に気がついて大きく手を広げ歓迎のハグをくれる。
「ひさしぶりだね~。さちがネブラスカにいるなんてすごい変な感じがする!!」
「14時間長かったよー。おしりがいたいよ」
「とりあえず家に招待するよ。ルームメイトが3人いるから紹介するね。お腹すいた?」
「すいたーー」

半年振りの彼はなんだかちょっとこぎれいになた感じがした。そして言うまでもなくわたしの荷物を持ってくれた。

「かなことみきは元気だった?」
デイブの運転する車に揺られながら、わたしは友人たちの様子を尋ねた。

かなことみきはわたしの大学の後輩で、留学生の日本語の勉強を手伝ってあげるというサークルに入っていた。デイブを通して仲良くなった子達で、私と同じく夏休みを利用してネブラスカのデイブ宅に遊びに来ていたのだ。わたしがシカゴでインターンをしていたとき電話でちょっと話して、たしかおととい一足先に帰国したはずだ。

「元気だったよー。すごい楽しんでた。」
「そっかそっか」
「かなことは今実は付き合うことになったんだ」
「????!!!」

ネブラスカのコーン畑が目の前に広がる。なんていった今この人??

「急だったんだけどね。かなこ達が帰る1週間前だったかな、話し合ってそうなったんだよね。」
「1週間付き合っていま遠距離中って事?」
「そうなんだよ。」
「お・・・思い切ったね」
「へへへ」

わたしはあらためて隣に座っているデイブを見つめた。

・・・こいつ、相変わらずよくわんない決断を下す男だな~

その時の私の感想はそれだけだった。彼がかなこと付き合っているという実感もそれがどのようにわたしに影響してくるのかも何にも考えていなかった。ただただ、半年振りにあったデイブと話している今に満足していたのだ。



つづく→

目的は、彼と再会することだった。

21の夏わたしはアメリカ・シカゴの1ヶ月間のインターンシップを申し込んだ。インターンシップとは簡単に言うと企業でボランティアで働いて企業経験を得るという代物。
21歳の恋愛体質の私の第一目的が企業体験のはずはなかった。



シカゴまで行 けば、ちょっと遠いけどネブラスカに住んでいる彼をどうどうと尋ねられる!というのが当時の私の考えられた一番賢いと思える選択だった。

「さちさん、ホントに気をつけて言ってきてね。特にここらヘンのバス停周りは危ないから」
インターン中けんかしたりお世話になったりしたアメリカ系チャイニーズのたくや(なぜか日本名を名乗る男たくや。推定40歳)がバス停まぜわたしを乗せてくれる。

「ありがとう!寝ちゃえば14時間なんてすぐかな?お世話になりましたー。」
そして、わたしは白人・黒人・ヒスパニック・アジアンなどさまざまな乗客と供にバスに乗り込んだ。

二人がけの席の隣には黒人の少年が腰をかける。
「おかあさんがスナックくれたけどちょっとたべたい?」
「ありがとー。眠いときはもたれていいからねー」
「俺眠くないもん!」
そんな会話を彼をした30分後には彼は私にもたれて寝息を立てていた。その規則正しい呼吸にぼんやりと耳を済ましている間にわたしも眠りについていた。

14時間バスに乗り続けるって思ってたよりはひどくなかったなーと思いながら目的地ネブラスカで席を立つ。
「いててて~」
おしりが痛い。そして背中の間接も縮んでしまった感じがする。このバスをおりてバス停に入ったら彼が待ってるんだ!と思うとこんなぼろぼろの状態で半年振りの再会を果たす気が憚られた。

「よし」
トイレで身だしなみを整えわたしはバス停を覗く。   つづく→