実践、より良い日本語の歌を歌う為に その1.5

 

前回、補足すべき項目が1つありました。母音の「う」についてです。「う」については1回分使ってちゃんと説明しなければならないくらい重要な項目です。

 

日本語の「う」は西洋の「U」とは全く別のものです。

いろんな言語があり一概には言えませんが、日本語の「う」は西洋の「U」に比べて浅くつぶれた感じがする音です。良く近いと言われるのはドイツ語のウムラウト「ü」ですが、僕が考える日本語の「う」は、

「U」「ü」の中間です。

つまり「U」ほど深くなく、ウムラウトの「ü」ほど狭くないのが日本語の「う」です。

声楽を学んで特にイタリアオペラを勉強すると日本語の「う」「U」になってしまいがちです。

こう説明しても日本語の「う」と「U」の区別が出来ない方が沢山いらっしゃいます。中には「う」と「U」が混在しているのにそれに気づいていない方もいらっしゃいます。

 

ここでウィーン少年合唱団の演奏する「ふるさと」を例に考えていきます。Youtubeにアップされている彼らの演奏を聞く事が出来ます。

https://youtu.be/kijsRgtXGXM

日本語を知らない(普段歌う事のない)彼らが「う」、つまり日本語の歌詞の「う」を歌おうとすると彼らは「う」ではなく「U」として処理しています。たとえば

 

最初の「さぎおいし」の「う」、「こりし」「ぶ」「つ」、「めは」の「ゆ」、「めりて」の「ぐ」、「われがたき」の「す」、「ふるさと」の「ふ」「る」

 

以上1番の「う」(または母音が「う」になる文字)に関して。

実は「ふ」「る」に関してはあまり違和感がありません。歌う時は意外とこの「ふ」は浅くしない方が美しい響きになるので深めになっても違和感がありません。そのためか「ふる」と続けた時「る」を深めにしても違和感なく進んでいきます。

一方、「さぎ」の「う」、「こりし」の「ぶ」「つ」、「め」の「ゆ」、「めりて」の「ぐ」

「われがたき」の「す」に関しては違和感があります。その他の特に「う」「つ」「ぐ」に関していえば、「U」になってしまっている「う」は日本語に聞こえないようです。

ましてや2番の「つつがなしや」の「つつ」と2度続けて出てくるところは、かなりの違和感があります。

つまり「U」では日本語の「う」に聞こえないという事です。

 

ですから「う」には注意が必要です。ローマ字にして発音する時には気を付けてください。

 

いかがでしょうか。あまり考えた事が無いという方もいらっしゃると思いますが、かなり重要な事です。

もっと詳しく言えば響きを奥にするか、前にするかでも変わってきます。発声面からいえば前に持ってくる方が良いのですがこれに関してはいろいろ考え方もあるのであえて触れずに置きます。

トルコ語のように奥で発する母音と前で発する母音を区別している言語もあるので実は重要な問題でもあるのですが、個人的には日本語に関して言えば前で処理する方が良い(明るい響きが良いと響きを当てる場所はどんな言語でも基本的には必ず上の前)と考えます。

 

結局長くなってしまいましたが、次回はいよいよ切り離した子音と母音を繋げていく作業についてお話します。ご期待下さい。