インバウンドの人数が増えるにつれて、
メディアが「マナー」をしばしば大きく取り上げる傾向があるようです。
その多くはマイナスの部分が取り上げ報道されているように感じます。

マナーと言っても、地域や文化によって異なります。
「マナーが良いか悪いか」のではく、

まずはその背景を理解することが大切なのではないかと考えます。

ここでは、中国と日本の公共交通でのマナーを1例として触れていきたいと思います。
具体的には「席譲り」と「車内での通話」についてです。

 

中国では「尊老愛幼」が美徳であり、この文化を大切にしております。

お年寄りの方や幼児の方が目の前にいたら、

反射的にと言えるほどすぐに複数の方が席を譲るのです。

実際、私が子供を連れて中国に戻る度に、基本的に誰かが席を譲てくれました。

子供連れて電車に乗ったとたん、乱れた服装をしている金髪な少年も

ブランドバックをかけて高雅なドレス姿の中年も、

すぐに席を譲てくれます。

これと対照的に、日本では席を譲てもらえることが稀です。

小さい子を抱っこして、汗だくで、きょろきょろ席を探していても、

スマートフォンに夢中している姿、鏡を持って化粧している姿、

目を閉じて瞑想している姿等が目に映りますが、

席を譲る人が殆どいません。

しかし、日本社会では、これは別に「マナーが悪い」なわけではないようです。

 

では「車内の通話」はどうでしょう。

日本では「車内での通話はできません」と言うのは常識であり、マナーでもありますよね。

稀に車内で通話する人がいますが、基本的に殆どの方が守っています。

しかし、中国では地下鉄やバスの中で普通に電話を話していますし、

イヤホン無しで動画等を見ることも珍しくないです。

でも、中国ではこれは「マナーが悪い」なわけではありません。

 

その国や地域の環境・文化・国民性など様々な要素によって、

それぞれの「常識」や「マナー」が異なります。

自分が思われている「良いマナー」や常識としても、

相手にとっては、「別に○○」或いは「非常識」になることもあるかもしれません。

お互いに理解し合った上に、相手の文化や習慣を尊重し合うことが大切だと思います。

また、中国語では「入乡随乡」との四字熟語があり、「郷に入(い)っては郷に従え」と言う意味です。

外国に行くときは、法律だけではなく、ぜひその国の習慣、文化を理解した上で、従った方が良いでしょう。
そして、外国人に対しては相手国のことを少しでも理解しておくと楽しさと増えそうですね。

 

日本では、来年は東京オリンピックがあり、

2025年には大阪万博と言う大きなイベントがあるので、

「異文化に触れる、異文化を知る、異文化を理解すること」が、

不可欠であることが言うまでもないですね。