「うん、よしよし。翔子も一つ一つ大人になってくんだ、こうした経験でな」
「だったらなりたくない、大人になんか」
「俺もお前も、いや、今生きてる連中みんな毎日年取ってるんだよな。お前一人だけ年食うなってのは無理だって」
「フフ、拓実君てホントおかしな人、おかしな人だよ、ハハ」
「やっと今日も笑ったな。良かった」
「それもおかしいよ、拓実君。どうして私が笑うのカウントするの?」
「お前が笑うの見ると安心できるの。いっつも無言で黙ってばかりだとこっちも苦労ってか辛い
んだよ、わかる?」
「私が笑うの見たって何も変わらないけどな」
「いんや、少なくとも俺はホッとする。逆にお前が笑わなかったらまた悩みかかえてるのかって思ってくるしさ」
「悩みかぁ。・・・別に今は悩みなんてないよ」
「それが一番ってお前も思うだろ?」
「うん、悩みのない毎日が一番て思うよ」
「よし、今日の俺たちの締めだな」と思う間もなく下からご飯できたよという声がした。「よし、下りよう。そんで腹いっぱい食べてやる」
「うん、下りよう」時計見るとまだ16時過ぎたあたり。早いなと思いつつ下りた。
すき焼きはもう煮込んでる。エアコンつけっぱなしなので匂いが籠ってる。換気扇回してたけど効果はなさそうだった。裕輔さんと姉さんはもうダイニングに座ってる。今や遅しって感じかな。
「うぉ、旨そう!すき焼きっていいもんだ」拓実君。
「早く座れって」裕輔さん。と言って腰かける。ダイニングの椅子は5つしかなく裕輔さん・沙織姉さんの対面に私たち座った。母は真ん中に座った。
「ちょっと早いけど別にいいわよね。お昼もあれだけだったし」母。16時過ぎだった。確かに早いな。
「全然です、では、いただきます!」
「あ、拓実君ダメ」母が言うと、
「え?」
「一応取り箸で取ってね」
「あ、失礼しました」取り箸持ち替えて拓実君はやっぱりお肉取る。卵につけて食べる。「うん、すき焼きは旨いです!」
