「うん、まあなんだ。あとでじっくり話す」

「肩透かしだね」

「いろいろと思うことあるんだよ、お前と違ってな」

「拓実君も酷いよ、何でも秘密にしとくなんて」

「まぁ最近何か忙しいだろ?お前の学童保育から始まって、横山さんのことも出てきたし」

「そうね、確かに忙しくなってるみたい。でも横山さんも学童保育入ったら私の居場所なくなるかもね」

「よく言うよ、お前はまりなちゃんだけいればいいんだろうが」

「そりゃそうだけど」

拓実君、腕時計見て「ああ。まだ時間あるな。16時半か。・・・で、横山さん呼んでいいのか?」

「あの人が来たいて言ってるのなら断れない。それにそれがきっかけで仲良くなれたら拓実君も嬉しいでしょ」

「まぁな。翔子との違いが目立って見えてくるんだろうけどな。・・・じゃ横山さんにいつ来れるか返事出す。でも翔子のことは自分から横山さんに言えよ。俺は黙っとくから」そう言って拓実君はスマホ取り出して返事のLINE入力し始めた。

私のことか。この小説ブログ(モノローグ)は話してもいい。でも裕輔さんとのブログ(E・L)は誰にも見せない。いずれにしても横山さんには興味のないブログだろう。でもそれ以外って言ったら何もない。つまんない過去だったし自慢できるようなこともない。家の住所とか血液型くらいならいくらでも言える。私も横山さんに同じこと訊くから。まさか横山さん私の出生のこと知ってるのかしら?まさかね。彼女は私たち家族のことは知らないはず。父だって黙ってるけど私たちのこと彼女の家族に言うはずがないものね。そんなことしたらどうなるか私でも分かることだもの。

「拓実君」

「あ?」

「工藤さんも学童保育行ってみたいって言ってたんだけど」

「ああ、いいよ。あそこも人が足りないから喜んでくれるだろうし」

「じゃ近いうちに彼女呼ぶね」

「だな。でも彼女は翔子が面倒見てな」

「え?」

「俺は翔子と横山さんの面倒見てるんだから工藤さんはお前が仕切ってくれよ」

「私に出来る?」

「大丈夫だよ。俺みたいにまた事務長さんに言えば済むこと。で、履歴書持って来たら即採用。つっかそんなこと訊いてくるなよ」

「・・・分かった。やってみる」

「一つ一つ経験積んでいけばいい。それが大人への筋道だろうし」

「分かった。工藤さんは私が見る。彼女ってまだ初めて知り合ったけど大事な人になりそうだし」

「横山さんよりも?」

「あの人は別格な人。多分将来に渡って付き合うんじゃないかな」

「ふーん、翔子からも次元の違う人に見えるんだな、横山さんって。俺もそうなのかもしれない。・・・ちなみに工藤さん誰に似てる?」

「彼女は眞鍋かをりにそっくりな人。とても綺麗」

「へぇ、そっか。また違う美人の登場か。俺の周りも美人ばっかだな。嬉しい限り」

「そうだね。拓実君も工藤さんと仲良くなれたらいいかもね」

「へ?お前本気でそう言ってんの?」

「うん。拓実君なら工藤さんも問題ないって思う。でも工藤さんに彼氏がいたらゴメンね」

「おい、翔子」
(続く)