「ううん、あ、そうだ、新しい友達できたんだ、今度その子連れてくるよ」
「裕美なら友達もいっぱいでしょ?」
「まぁね、で、その子って私と瓜二つなんだ、もう姉妹みたいな感覚かな?背が高くていっぺんで好きになれる子だな」
「名前は?」
「小山内翔子ちゃん」
「ふーん、流石に姉妹じゃなかったんだ」
「幾つ?」
「一つ下の19」
「どうやって知り合ったの?」
「たまたま部の合宿で熱海にいたとき、翔子ちゃんが私見て友達になりたいって言ってきたの」
「ふーん、一つ下の同じ顔か、どんな子か見てみたいね、あなたとそっくりなのも興味あるな」
「だから連れてくるよ、今度」
「でも私んとこ来ても迷惑だろうな。第一知りもしない子にお見舞いなんてしてほしくないし」
「ううん、彼女はいい子よ、で、朔美も一緒に学童やろう」
「学童?何それ?」
「ほら、親が共稼ぎで子供預かってくれるとこ。そこでバイトしてるの。そこも翔子ちゃんの紹介で入ったの」
「へぇ、お嬢様がバイトなんてしてんだ、そっちの方が珍しい」
「お嬢様なんて止めてよ、学童って楽しいよ、いろんな子供いるから飽きないしね」
「いいわね、裕美見てると毎日がワクワクドキドキって思うな」
「だから朔美も誰かと付き合ってほしいの、で、いい人見つけようよ、もっとも翔子ちゃんは彼氏いるけどね」裕美はどうしても私を男と付き合させたいらしい。でもどうしてなんだろう?
「どうして裕美はそんなに私急かすんだろ?男々って」
「わかってるじゃない、朔美が素敵な女の子だからよ。そんな子にはきちんとした彼氏がほしいの、誰もが思うことだけどな」裕美の言ってることは素直に嬉しいし有り難いことに思えた。私も十人並な顔してるんだ。かと言ってもう彼氏は要らない。じき死ぬ奴に彼氏なんてね、お互い悲しむなんてヤだ。私と一緒だと将来は語れない。詰まるところ不要なんだ。
「有難う、裕美。でも・・・私は彼氏なんていいよ。そのうちポックリになっちゃうだろうしね。付き合いはできない」
「朔美、あなた確か胃が悪いって言ってたよね?そんなに悪いのかな?もう半年も入院なんてどっかおかしいって思うんだけど」
「胃だけじゃなく肝臓も腸も腎臓も内蔵のどこもおかしくなってるって思う。そのままポックリになっちゃうかもね。ハハハ」思わず笑ってしまった。裕美に真実は言えない、ガンのことは。