遠い星358(帰郷編Ⅲ-19) | たろすけ日記
「うわっ」風呂は女二人の香りで充満してた。裕美だけならこのままで過ごしたはずだが、俺は風呂の小さな窓を全開して局部と足を洗って湯船に入った。熱いけど気持ち良かった。
多少酔いが残ってたけどゆっくり風呂からでて身体と頭洗った。髭も剃った。うん、スッキリした。

そのまま風呂入ってすぐに出た。何も考えずに。もうあとは寝るだけだし。あ、ブログ忘れてた。・・・でもいい。別に俺のブログなんて誰も見てないしどこにでもあるようなブログだもんな。
身体拭いて浴室出て着替え着てリビングに入った。

「お、鮫、相変わらず早いな」おとんが言ってきた。

「へ?いつものことやん」と返すと、

「男って誰もがカラスの行水ね」と志奈子が言うと

「そうね、彼もお風呂すぐ出ちゃうしね」と裕美が言ってきて、

「え!?裕美さん、ひょっとしてこれのお風呂の状況とか知ってるんですか?」と志奈子が言ってきた。

「え!?あ、あぁ、そうね、何度か見てるよ」と裕美が返したものだから、

「わぁ、信じられないけど、そのままこれとベッドインなんかもしてるんですか?」またこいつも変なこと訊いてくるなと思いつつ、

「お前も彼氏出来たら分かることやん。俺らのことちょっかい出すんはもうええやろ」

「わぁ~、生意気!鮫みたいなのが裕美さんとくっつくなんて世の中おかしい!」

「志奈子ちゃんなら彼氏なんてすぐ出来るよ。可愛いんだから。あれから兄とはどうなったのか訊きたいしね」

「わ、裕美さんまで・・・。どうせなら『可愛い』じゃなくて『綺麗』って言って欲しいけどね。ま、いっか。私らしいしね。おにいが裕美さんと付き合わなかったらこうしてウチでこんな会話なんて出来なかったし。・・・でも妬けるな。どうしてこんなのに裕美さんみたいな綺麗な人がいるのかって思うと。・・・と、お茶入れるけどおにいも飲む?」

「あ、あぁアリガト。お願いするわ」

「ちぇっ」と言って志奈子が席を離れるのを見て俺たちはお互いにらめっこして吹き出し笑いしてしまった。

「次お父さん入りなさいな」おかんが言ってきたので

「あ、あぁそうするか」と言っておとんも出てしまった。

「はい」麦茶持ってきた志奈子がまた座る。

「アリガト」そのままゴクリと飲む。うん、風呂上がりの麦茶は美味しい。「かー、美味い!」

「・・・さっきの続きですけど智さんとは時々メールとかしてるしたまに電話かけたりしてますよ」

「聞いてなかったけど親しくやってんだ」

「パッとだけど会いに行きたいなって思うこともあるけど、受験終わるまでは我慢我慢って気持ちでいるの。智さんも私の今の状況分かってもらってるからいつも受験頑張れって励ましてくれるんだ」

「志奈子ちゃんも私以上に兄とは仲良くなったんだ。良かったね」

「そんなことないですよ。裕美さんと智さんは紛れもない兄妹なんだから」

「だな。ま、もうあと半年で受験だもんな。で、受けるのはやっぱW大か?」

「そのつもり。東京じゃないと智さんにも会えないし。もちろん裕美さんもおにいも東京だし」

「教育学部か?」

「そのつもり。おにいの後輩目指して頑張ってる」

「ふーん。ま、お前なら合格出来るだろしとにかく頑張れ。でもお前までウチ出たらここも寂しくなるな」

「分かってるけど仕方ない。・・・おにいも帰った時くらいお父さんお母さん大切にしなさいよ。いつもお世話になってるし美味しいご飯作ってくれてるんだから」

「分かってるって」そう言っておかん見るとおかんは食卓に座ってテレビ見てる。俺らの会話には関心なさそう(続く)。