遠い星351(帰郷編Ⅲ-16) | たろすけ日記
「やけど、お前彼女と一緒になりたい気持ちは変わってないんやろ?」

「もちろん!かと言って気持ちばかり先走ってるわけでもないで。いずれ時間が解決してくれる思てる。父ちゃんは彼女のこと反対してないよね?」

「もちろんや。あんな自分を飾らない気立てのええ、おまけに誰もが認める別嬪さんはおれへんで」

「やね」

「確かに私も焼けるくらいしっかりした子よね。鮫行にはもったいない」おかん。

「今時裕美さんみたいな人っておらんよ。男性からも女性からも慕われてるしね。裕美さんなら何でも話しちゃうし話したい人やし」志奈子。

「その気持ちは一生大事にしとけ。お前にはもったいない人やから」おとん。

「今の俺には何もないけど、これから社会人になって一人の男として彼女守ってく。誰に言われなくてもその気持ちは絶対守りたい」俺。

「お前なら間違ったことはせんやろし、そこは俺も安心出来る」おとん。

「そんなわけでもないけど・・・」俺。

「え、ほうなんか?・・・まぁええわ。やけど、あの子を悲しませるなよ。俺らみたいに50になっても80になっても寄り添っていくんやで」おとん。

「浮気は絶対せんて宣言してる。一生好きでいられる思てるし、少なくとも幾つになっても彼女だけ見ていきたい。今の俺に言えるのはそのくらい。もっとも感情だけしか今の俺にはないけど」俺。

「ええねぇ。どっかの恋愛ドラマみたい。私もおにいに負けない位の恋愛したいな」志奈子。

「志奈子はその前に受験やろ」おとん。

「感触はどうなん?その前にどの学部受けるの?」俺。

「テスト結果はボチボチってとこかな。受けるのは文学部と教育学部」志奈子。

「どうせなら俺らと同じ学部入れるとええな」俺。

「その前にとにかく合格したいよ。浪人なんて嫌やし」志奈子。

「他どこ受けるつもり?」俺。

「東京はW大一本。こっちは関関同立」志奈子。

「やったら隣のKG大受かったら父ちゃん母ちゃんも喜ぶやろな。あそこやったら自転車で通えるやろし」俺。

「何言うてんの。私はW大しか頭にないよ。お母さん、何か言うてやってよ」志奈子。

「志奈子の好きなようにさせてあげよ。W大が目標なんだから」おかん。

「はいはい。勉強頑張れよな」俺。

「言われなくても分かってる」志奈子。

「彼女風呂から出たら暑いやろからお前の部屋エアコン入れといたら?」俺。

「そうよね。裕美さんお風呂から上がってもまた汗かいちゃうね。お母さんエアコンつけてええ?」志奈子。

「あの子も移動で疲れてるから早めに寝かせてあげましょ。つけてきてあげなさい」おかん。
(続く)