「いいよ。・・・俺ってどこの大学出たか知ってる?」
「いえ、知りません」
「K大だよ」
「へぇ~、凄いですね。なかなか入れない大学ですし、智さんのご家庭らしい大学ですね」
「そうか。・・・小田島君から見たら、俺なんか恵まれた奴に見えるかもしれない。でも俺ってスゴク嫌な奴だよ。実際ブロキャス入ってから自信過剰な位自惚れてた」
「そりゃそうでしょう。エリート街道突っ走って来られたわけですから」
「・・・でも、実際は全然違ってたよ。毎日仕事に追われてさ、俺って何のために生きてるんだろって思うこともしばしばだし・・・」
「そんなことがあったんですか・・・」
「かと言って俺の過去振り返っても何もいいことなんかなかったし」
「何か似てますね」
「何が?」
「智さんと裕美さんです」
「俺と裕美が?ハハ、止してくれよ。俺はあいつみたいに泣き虫じゃなかった」
「いえ、感情を表に出す出さないじゃなくて、お二人の性格が似てるんです」
「ま、俺たちってどっちも大人しくて目立たない奴だったしな」
「でも、僕は智さんのこと好きです」
「俺も君のこと好きだぜ。じゃないとこんなこと話さないしな」
「僕から言えることはお仕事頑張ってくださいとしか言えません。僕も社会人になったら間違いなく苦労すると思います。でも誰もがそれ乗り越えて一人前になっていくもんだと思うんです」
「いや、悪かった。初っ端から変なこと言ってしまって。俺みたいな変な奴が世の中いっぱいいるってことさ。じゃ俺のネット紹介してくよ」既に電源の入ってるデスクトップPCのマウス手にとって、「小田島君もネットは当然やってるんだろ?」
「はい、そこそこですがやってます」
「ちなみに今ハマッてるのは?」
「アメーバですか。ブログとそれ以上にピグですね」
「俺も入ってるけど、時間ないからほとんど放置状態。俺のネットはこれ」と言って画面見せてもらった。ん?これは何?何かチマチマしたものが画面一面に出ていてそれを一つ一つクリックして合わせてく・・・、分かった!ジグソーパズルだ。
「ジグソーパズルですか」
「そう。もう病み付きになってる」
「へー、ネットでこんなのあるなんて知りませんでした。でも相当な根気が要りますよね」
「だね。でもクリアしたときの達成感っていったらそんなピグなんかよりもずっといいよ」
「そうですか。いつごろから始められたんですか」
「学生の終わりの頃、就職活動してた頃かな。あの頃ヒィヒィしながら毎日送ってたもんな。で、たまたま見つけた後はずっとやってる。小田島君もやってみる?」
「そうですね。簡単そうなのさせてください」智さんが今やってるパズルは何か綺麗な風景のものだった。綺麗だけど難しそう・・・。
(続く)