裕美が話したいことって何だろう。その元彼と何があったんだろう。あの阿川とかいう女、おそらく出しゃばりだから些細なことを大きく誇大妄想的にさも大げさに言いたかったんだろうと思いながら、livedoorをパラパラめくってた。興味惹くようなニュースなかったけど。
ぼんやりしてると裕美が出てきた。あ、ここドライヤー置いてない。シャワー入る前に言っとくべきだった。また裕美気を悪くするだろうなと思いつつ、裕美が出てきた。
「あー、気持ちよかった。最初は寒かったけど、段々温もってきたしお部屋も暖房効いてきてるから気持ちいいね」
「ゴメン、ドライヤー置いてないんだ。悪いけど自然乾燥してもらうしかない。元々男ってドライヤーって使うことないから・・・ゴメン」
「そんなことで謝って欲しいなんて思ってない。私の方こそゴメンね。鮫君もゆっくりしたかったでしょ?」
「いや、どんな形であれ裕美がいてくれることは俺にとっては何よりも嬉しいこと。じゃ俺もシャワー浴びてくる。すぐ出るけどテレビでも見てて」
「うん、見てる」
そのまま俺も衣類とか洗濯機の上に置いてシャワー浴びた。この時期のシャワーは寒いんだけど、裕美もよく我慢して浴びたもんだと思いながら、髪と身体洗った。いつものように髭も剃った。そのまますぐに出た。
「あ~、出た出た。寒いのによくシャワーで我慢できたね。エアコンはぼちぼち効いてるか」
「お母さんには友達の部屋に泊まるって言ったよ。別に何も訊かれなかった」
「そう。また悪いことしちゃったね。裕美みたいなお嬢さんが信じられないことだけど・・・」
「・・・これからどうしようか?」
「ん、お酒飲むんでしょ?」
「あ、そっか、そうよね。・・・飲みながらお話していい?」
「好きなようにしたらいい。今晩は長いんだし。もう飲む?あ、でもおかずロクなもんないよ」と言ってカールと冷蔵庫からビールとソーセージ持ってきた。狭い空間だが、部屋の椅子に座って机にビールとか置いた。
「アリガト。じゃ飲むね」裕美の方からビール取りプルトップ開けた。俺も開けて乾杯した。
「乾杯。でも何の乾杯だろ?」
「何だろうね?私の正体がバレることに乾杯、・・・なんてね」
「言っとくけど、話したくなければ話さなくていいよ。俺は裕美が黙っておきたいこと、秘密にしたいこと無理してまで聞きたいって思ってないし」
「ううん、いずれ、阿川さんが言ってくるから、その前に私の方から言っておくの。多分、これ聞いたら鮫君も私の前から消えていくかもって思うけど、私のけじめなの。でも、もう少し飲ませてね。素面じゃ言えないことだから」そのまま裕美はビールを飲んだ。
(続く)